深苑の帰宅
「我が主、深苑様がご到着なされました」
「調子はどう?」
「もちろん最低。そっちはどうなんだ」
「猫よりはイイ。つまり最高」
慣れ親しんだ挨拶だが、これをするのも久しぶりだな。
あ、アレは伝えとかないとな。
「お前の部屋になっている場所の押入れが蜂蜜倉庫になってるからよろしく」
「あ、猫気が利くじゃん。私の好物用意しといてくれるとかさ」
「高い奴はラベルを変えてるから喰うなよ。喰いたきゃ自費で買って来い」
「クラッカーなども用意してありますが、間食は程々にお願いします」
「分かってまーす」
一言一句想定通りの言葉が帰って来たな。それと黒依は背後から刺してるな。
健康や美容に良いとされる蜂蜜だが、食べ過ぎは単なる毒になるからな。量に対してのカロリー高めだもの。
「ところで猫、姉さんが泊まりたいと言ってきた場合の部屋って余ってるの?」
「愚問だな。部屋は常に用意してある」
「シスコン拗らせてるわね」
「それはお互い様だろ?」
そろそろ本題のアレ聞いておくか。じゃないと体が悲鳴をあげているからな。
「祓いを頼めるか?」
「ん?ああ。私も今回は無理だったよ」
「マジ?」
「EHOを姉さんが始めてから力の増幅速度が向上してる。多分次にアンタがリアルで使ったらその時は私でもどうしようもなくなると思う」
村正の実質的な使用禁止令か。ますます海外には行けそうにないな。というか、灸をすえるという意味でリアルの肉体まで影響を与えて置く辺り流石というかなんというか。
「あ、そうだ猫貢献イベントのランキング発表聞いた?」
「聞いてない。とある隔離エリアでひたすらに組手やらされていたから帰還後やろうとしていた事何一つとして進捗ないです」
「逃げれないの?」
「ティンダロスの連中から逃げてまともな活動が可能だとでも?」
「それは……ごめん」
コレがクエストで強制受注とかミゼーアさんマジ鬼畜だろ。いや、ショゴス達に金銭与えて休暇を出すってことはできたがそれだけなんだよ。
ログインしてエンドレス組手をして休憩にログアウトしてまたログインからの組手。
う~ん、文章だけで考えるなら発狂しそうだな。
「我が主、私がその組手を引き受けましょうか?」
「いや、クエストの報酬目当てでやってるから問題ない。それよりも朝食を頼む。これから学校だろ?」
「かしこまりました」
「黒依ちゃん、こんな奴の指示嫌だったら蹴り飛ばして断っていいんだからね?」
「私が我が主の命に背くとでも?」
姉さん、ソレは黒依の地雷です。
ふへへ
土日で骨組みは仕上げて投げたいなぁ




