貢献イベント19
「最後の大詰めと言わんばかりの量だよな」
「ケットシーの集落に行かれた以降に溜まった書類です。最後の機会だからと大量の依頼が舞い込んでおりますので」
アルアジフが全て捌いてくれるそうなので他人事で済ませているが、当事者として処理するとなると発狂しそうだな。
それはそれとして2号の秘書感が高くなってないか?気のせい?
「主様、お話よろしいでしょうか?」
「かまわんよアイナ」
「帰還後の事ですが、私達は主様の所有物となります」
「Pardon?」
「主様が最初に行おうとしていた死霊術、その実験体にだってなります。お傍に置いていただきたいのです」
アイナの隣にいるシーラも首を縦に振っている……何故故?死を許容し、死後も束縛されることを望む……しかも失敗して無に帰る可能性すらある実験行為に協力してだ。
どういう風の吹き回しだ?いや、違う……コレどちらかというと恋する乙女の視線に近いな。訳が分からんし、アルアジフで状態の確認を行うか。
アルアジフ、作業中断していいからこっちで中身読ませてくれ。
おおん?はい?はぁ?
疑問符しか出ない内容だが、納得はした。経緯がプライバシー保護の為に秘匿するって表記されていて謎な点を除けばだが。
結論だけで語るなら我の側で我を見ていたいという事か。
アルアジフ、防音結界を張ってから仕事に戻ってくれ。
「二人とも」
「「ひゃい」」
「我の夢小説を書く事を許可する。ただし、話題に出したり執筆を行う場所に関しては制限を設けさせてもらう」
「「ミ°」」
あらら……声にならない悲鳴を上げて気絶してしまったか。姉さん直伝の堕とす為の笑顔で知られたくないであろう事を知っていると、そして自由にしていいと許可を出されてしまったからな。我なら頭が真っ白になる自信しかないぞ。
「2号受け止めた二人をそのまま介抱してやってくれ」
「かしこまりました」
「あと、先程の会話を口外する事を禁ずる」
「は。秘匿情報とさせて頂きます」
目を通すだけの報告書は自分で読むとして、帰還したら神話生物等危険存在隔離教育施設の建設地の選定もやらないとな。アルアジフにメモしておこう。
これはアイリスからの報告書?タイトルは「物理世界で適応用装備無しに冒険世界と同じように活動可能になる施設に関して」か。
建造物内という限られた環境下でしか使えない技術故に使い道を求むとな?
……物理世界に教育施設を用意するとしよう。脱走がイコールで死に繋がる環境下ならショゴス達の負担も減るだろうからな。




