貢献イベント10
対大群作戦本部
「局地的に優勢、全体的には劣勢か。手札の見直しを始めた方がいいかもな」
「マスター、三馬鹿のうち二人が未参戦状態です。彼女達が参戦してから再考しても遅くはないかと」
「かもしれないが、こちらの被害を軽微にするためにクロエとエピゾを全体のサポートに走らせている。二人の負担を軽減する策を用意しておくに越したことはない」
髭紳士の他に各クランのリーダーなど指揮役のメンバーが集うこの作戦本部もアイリスの奴が設置するだけしてどこかへ行ってしまったんだよな。
「うちの組員が数名強い奴に当たったみたいで散りました」
「生産連中の回復薬作成が追いついていません!というかポーションの中毒が発生するだろうからそろそろ使用を控えるように忠言が来ています!」
「アルアジフ、アイリスに繋げ」
猶予がなさすぎる状況が始まったか。遊ばせている暇など消え失せた。強制的に呼び出すしかないな。
『はいは~い、どったのマスター?』
「全体的な戦況が劣勢だ。お前は出撃を命じる。隣に居るであろうキバーラルも同様だ」
『マスター、この子達の初陣に相応しい場面の用意をありがとう』
「……仕事減らすぞ?」
『ごめんって!ちょうど最後の仕上げが出来たところなんだから許してよ。すぐに出撃します!』
「アルアジフ、お前の独断で支援を開始しろ」
《了解致しました》
これで戦況が好転するといいのだがな。
なにか不穏な気配を感じる……上だな。外に出て直接確認するか。
「髭、とりあえず組み直した奴を置いていく。参考にして後はお前に任せる。他の奴も連絡要員を確保してあるなら戦場に混ざっていいからな」
「承知しました。ご武運を」
この作戦本部、テントじゃなくてしっかりとした小型の要塞だから外に出るのにも一苦労よな。
◆ □ ◆ □ ◆
「ここが敵の本拠地……潰してルーちゃんの負担を軽くする……」
「姉さん待って、このマーク猫のだから味方の拠点だって」
「え、でもレギオン達の報告だとここに化け物を召喚した奴が居るって話だよ?」
「はぁ……姉様、ここは潰さないで貰えると非常に助かります」
出て早々に聞こえてくる会話が姉様による利敵行為って……ため息も出ますわ。この程度で済んでいることとミオンがしっかりと手綱を握ってくれていた事に感謝だな。
「えっと、ルーちゃんなんだよね?久しぶり」
「お久しぶりです姉様」
「……猫、あんたの今の顔他の奴に見せたら堕とせるわよ」
「うっさいミオン」
姉様って私に会うとハグしてくるからソレを受け止めないと後々が面倒くさい。拒否する理由もないから普通に毎回受け入れるんだけどね。
顔がニヤけてる?言われなくても自覚してるわ。
「姫様、この建造物はやはりこの出入口しかなさそうで……何者ですか?」
「ソイツが姉さんの言うルーよ。私は猫って呼んでる」
「ああ、なるほど。例の御仁ですか」
アラクネか?姉様がテイマーをやっているとは聞いていたが、何を使役しているのか読めなくなってきたな。それこそ神話生物が他にも混ざっていそうだな。