ゴールデンレトリバーのわんわんお
「ちーす三河屋で~す」
「帰れ!ここは貴様の様な奴が来る場所ではない!」
「了解です」
任務完了……近々あるという貢献イベントに向けて猟犬達の容姿を調整するという仕事があるからな。
Q.なにしたの?
A.アズルからの呼び出しを受けて向かったが門前払いされた
計画通り帰宅だな。
……ちなみに呼び出し理由はイベント中この街を留守にするのでそれに備えて騎士団の戦力増強を行いたいんだそうです。
クロエ達の扱きで十分では?
「クロエさんお疲れ様です」
「いえ、我が主がそろそろ到着なされる御予定なので迎えに出て……すみません、あの人を追い返したのですか?」
「え、あ、はい」
やべ、気づかれた!クロエに丸投げする気でこの作戦を実行していたのだがな。
何事もなかったかの様に去りましょう。
「我が主、アズル様がお待ちですのでお戻りください」
「……」
「あの、我が主?あまりおふざけが過ぎるのならリアルでイタズラさせていただきますよ?」
「三河屋で~す」
「我が主、恨むなら己の命を恨んでください」
「御主人様っていうのなら見逃してくれてもいいのだがね~」
◆ □ ◆ □ ◆
「クロエ教官、その、そちらの方はいったい?」
「私がお仕えしている主です。そしてアズル様の客人でもあります。丁重にもてなすように」
その丁重に扱うように指示出してる張本人が客人の着ている服の首元を掴んで引き摺っている現状いいの?結局訓練所まで連れてこられましたけども。
そんなクロエの指示にアズルさんまで頷いて……え?待機してたんです?
「猫君ってさ、ゲーム内で呼び出すと一度素直に来てくれるけど、なんらかの理由で追い返されましたって帰ろうとしてない?」
「ちーす三河屋で~す。配達に来ました~」
「それじゃ猫君、お届け物は?」
「組み手相手兼番犬としてスカウトしてきた奴らですよ」
相変わらず誤魔化されてくれるなぁ。
さておき、前口上と共に呼び出しますか。
「直視をすれば正気を削られ、時間も空間も関係なく移動可能な方々を呼び出します。この身この魂、アズル様そしてこの街に捧げる覚悟があるモノのみ残りなさい。そうでなければこの訓練所から退出を」
「我が主、誰も出ていきませんよ」
「そうですか。では″サモン・ティンダロス″」
……ん?あるえ?なんでゴールデンレトリバーの群れが出てくるの?
違う、コレ多分『副王』がそう見える様に光の屈折やらなんやら魔術で弄っているだけだ。
そうなると、ヤバイな。
「不用意に触れると火傷します。この可愛らしさに惑わされず、狩られないように逃げるなり逸らすなりして頑張ってください。もちろん倒せるなら倒して構いませんよ」
「総員展開!」
ソイツら強い方だからなぁ……若手とはいえ。
声出して指揮をとっていたら狙われるよ?
観戦中
「猫君、あのティンダロスってわんわんおのティンダロス?」
「ええ、まぁ。タイムパトロールの候補生ですかね」