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望まぬ回帰

...おかしい。どうなっているんだろう。

私は自分の身に起こったことをベッドの上で思い出していた。


確かに私はあの時、処刑人に首を切られて死んだはずだ。

冷たい刃の感覚が今でもうなじに残っている。


なのに気が付けば高熱で1人魘されているところだった。

熱でボンヤリとした意識のままふらつく足で鏡の前まで歩き自分の姿を確認すると、そこにいたのは4,5歳くらいの頃の自分であった。


夢なんかではない。

確実に私はあの時死んだ。

けれど、私は今生きている。

生きてしまっている。


「どうしてですか神しゃま......わたしが悪い子だからですか。だからわたしにもう一度地獄を生きろと言うのですか。」


熱のせいかどうも涙が止まらなかった。

ポロポロと枕を濡らしていく。


こうやって熱を出しても、私のお見舞いに来てくれる人など居ない。ただ今回ばかりは、泣いているところを見られずに済んで良かったと安堵した。



ひとしきり泣いたあと、ふと私は思い出した。


「そういえば......お母しゃまが亡くなったのは、わたしの5歳の誕生日の日だった。そして今のわたしは大体4,5歳くらいだから、もしまだ私の誕生日が来てないとすれば......お母しゃまはまだ生きてるかもしれないということ......?」


私のことを愛してくれたただ1人の人。

こんな私を“希望”だと言ってくれた唯一の人。

もしまだお母様が生きているのならば、私は救いたい。

救わなければならない。


それさえできれば、私はもうこの世に未練なんてない!


「...そうか!神しゃまは、わたしがお母しゃまを助けられるように回帰させてくださったんだわ...!」


そう考えれば、案外神様も悪い人ではない。

攻めたりしてごめんなさい神様と祈るポーズで謝っておく。


とにかく、やるべきことは決まった。

まずはお母様の病気を治して元気になってもらう。そして、その使命を果たしたら次こそは永遠の眠りにつくんだ!!


そう決心すると久しぶりに心がワクワクして、口許がわずかに上がるのを感じた。


使命を全うするためにも早くこの風邪を治さなくては。

そう思い、胸の当たりにある布団を頭まで被って静かに目を閉じる。


治ったらまずはお母様のお部屋に行って確認をしよう。

本当にお母様がまだ生きていると確定してはいないけれど、その可能性があるというだけ天にも昇る気分だった。


熱のせいか、はたまた記憶を思い出し脳に相当疲労が貯まっていたせいなのかすぐに眠気が襲いかかってくる。


沈み行く意識のなか、早くお母様に会いたいと強く思った。

大丈夫、今度は必ず助けてみせる。

だって、お母様を助ける方法はもう既にわかっているもの。


だから...


「だから、待っててねお母しゃま。お母しゃまのためなら私、死ぬ覚悟はできてるもの...」

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