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40話


「わかった。わかった」と無理やり王が終わらせる。

 妾も一通り伝えて王を納得させた自負があるので引き下がる。なんだか今のやりとりだけは、以前に見た勇者のそれだった。

 こほんと話を変える咳をして、王がリュネに問う。



「リュネ、非戦闘民族は狙わないでくれよ」

「大丈夫だ」



 ぽんぽんと竜を叩くように撫でる。

 リュネの説明によると、王座に蒔いたリュネの血を追わせているらしい。正確には血そのものというよりも、微かに残るニオイのほうか。それともその血にさえ追跡系の魔法でも仕込んでいたのかもしれない。

 

 確かに大臣たちもこの広間に入っていた。

 人では感知できないものをつけてしまったということか。

 本能的なものでそこまでできるのか。

 流石妾のリュネ。



「しばらく下臣不足には困るな」

「それは問題ない。邪魔が一掃できてよかった。この光景は予想外だったがな」


 ――これが本心か。


 わざとリュネを置き去りにする。

 絶対に謁見するからそれを見計らって、臣下を呼んでおく。兵が来るか否かなって、王の采配でどうにでもなる。

 情報遮断もお手のものか。

 

 たとえ作戦とはいえやっぱりリュネを置いてけぼりにしたのは許さない。あとはリュネに殺しをさせようとしたことも。

 あと…、あと。と『こいつは許せん』の言葉は数多くある。

 しかし、リュネもなんとなく察していた感じではあった。手合いの違和感はそれか。

 

 妾が悶々としている間に悲鳴は聞こえなくなっていた。



「では、私は兵たちに連絡をとってくる。君たちは適当に巻き込まれた体でいてくれれば、辻褄合わせしよう」



 そう伝えて、歩いて行った。

 一番うまい汁を吸えたのは王だろう。

 悔しい。

 またリュネには内緒で、王を叩きに行こう。

 そう心に決めた。

 

 王が去ってから竜と戯れ、吸血し始めるリュネを横目に見る。なんだかセンシティブだ。



「リュネ」

「ん?」

「いつから王が誘い込んでいるとわかったのだ?」

「そうだな……。謁見の時からおかしかった。だから、どう転んでも動けるようにはしていた。君が疑問を持つだろうとは思っていたが……伝えなかったのは悪かったな。

 確信を持ったのは剣を交えた時か。私も何をしたいのか分からなかったが、やつは任務も命令も言わない時がある。……情報統制しているなら竜をけしかけなくともよかったな」



 リュネも言わない時があるぞという言葉を飲み込む。それを自分でも自覚しているのか、今は饒舌だ。




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