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27話


 妾ははやくリュネの勇姿を見てみたいのだ。


 急く己を律して、両手で魔術師を囲う。

 魔術師の周りは陰で埋もれていく。


 魔術師は光、炎の魔法を得意とするようだ。てっきりダンジョンの時のように召喚魔法を扱うかと警戒していたが、杞憂だった。そもそも闇討ちだから操れない可能性を踏まえたら己で魔法を出した方が他の人間にも被害はないからな。


 妾の使っている影の魔法は確かに光などと相殺されやすいが、代わりに影も生まれやすくなる。理解していないのが幸いだ。

 

 魔術師がよそ見できないくらい。こちらに攻撃して来れないくらいに攻めていく。



 「うわ!」



 再びレーザーが妾を掠める。


 しかし見た感じだと、先程のように狙って打ったわけではない。

 最早乱れ打ちになっている。

 両側の建物の外壁も穿っている。

 

 武闘家の方も一瞬伺えた。

 目線は別の方向。どこに来るかわからない魔術師の魔法を躱そうとしているようだ。

 少しばかり衣類に焦げ目が見える。魔術師の魔法を喰らってしまったのか。


 リュネの姿は見えない。

 流石だ。

  


 ーーよしよし。



 この様子だとアレが杖まで到達したか。

 

 暗闇であまりわからないが、魔術師の打つ光で蟹が杖をガリガリと削っているのが薄ら見えた。うぞうぞと下の闇から現れる蟹たち。

 魔王にも与えたものでもある。


 枝のように杖がなるまで乱れ打ちして影に埋まっていった。


 そのまま妾は陰で縄を形成して魔術師を捕まえた。


「ふう……」と一息おく。


 念には念を、と催眠もかけておく。

 妾は壁に凭れ掛かっている魔術師の前に歩いていって何かを塗すように指を擦る。

 するときらきらと粉が舞い落ち、そのまま魔術師は落ちた。



 ーーあとでリュネに褒めてもらわなければ……。


 そう思い武闘家とリュネを観戦することにした。

 

 武闘家はとても怯えた表情で縛られた魔術師を肩に担いで妾の横を通り過ぎてしまった。

 そのよこを更に風が通り過ぎていった。

 風と共に妾も振り返る。



「お、おい! リュネ、やっぱり狂っちゃったのか!?」



 叫ぶ武闘家。

 更には謝罪の言葉も口から流れていった。

 彼はリュネが声をかけたと言っていたから顔見知りではあったからか。


 その手首には血が流れている。

 血の匂いで暴走しているのか?

 

 妾からはリュネの後ろ姿しか見えない。

 ーーがリュネから振り向いてくれた。


 その瞳からは普段の夜空の星。

 狂気は見えないが。

 知り合いならちょっと楽しくなってしまったという可能性もあってニヤける。


 これは……。


 確信は持てないが、足止めしろということだろうか。妾は両手を仰ぐ。リュネもろともになるがあとで謝ればいい。


 人を転ばせるくらいの突風を吹かせた。

 

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