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26話


 リュネが闇夜に溶けていく。

 手首の鎧までも落ちた瞬間。

 向こうで「ひぃ」という悲鳴が聞こえた。

 


 ――あのあたりか。

 


「捕えよ」



 妾は手を翳す。

 悲鳴の主である魔術師に向けて死角の影から拘束魔法を使った。掌で魔術師を闇で包み込む。

 しかし簡単には捕縛されない。



「っく」



 悲鳴を喉で抑えて杖を振るう。

 出て来たのは強い光。

 妾の影はズルズルと消えていってしまった。

 影はその後ろで戦うリュネを護るように壁を創り、消えた。


 余計な世話かもしれない。しかし念には念を、だ。彼が一瞬こちらに目を向けて「助かった」と伝えている気がした。あちらはお互い殴り合いに近くなっているみたいだ。


 しかし……襲って来た相手とはいえ剣を置いていったのは、正々堂々戦わなければ。というリュネの心算があるのだろうか。


 戦う様をしかと見られないのはとても残念だ。

 さっさと終わらせなくては。

 

 再び妾は影を使って再び魔術師を襲うつもりで足場を波打たせ、歪ませる。



「そんなもの」



 嘲笑う魔術師の声。

 確かに光で相殺されてしまう。

 重々承知だ。


 今もレーザーやら炎の弾やらを打っては地面から出現させている黒い手を消していっている。

 魔法を操っていることはなく。

 すべて直線で打っている。



 それならば――。

 あの杖さえどうにかすればいい。



 魔法というのは千差万別らしい。

 発動は様々で、ある者は目だけで。ある者は提唱を。ある者は道具を介して。


 一番多いのは道具を介して魔法を使うこと。

 一番難易度が低く、例え魔力というものが備わっていなくとも、使えるようになる。


 手のひらで具現化した魔法を操作できる。しかし、道具を使う者たちはそういうことができないらしい。


 ……全部魔王の受け売りなのが癪だが。

 ある意味師匠なことに違いない。


 とにかく杖を狙うのは元々魔力がないが魔法は使えるに賭けているから。


 影の手を更に増やしていく。

 そちらに注視してくれるならいいとばかりに。策略通り、波に足を取られつつも拘束にかかる幾つもの腕を消していく。

 影の波にあるものを流し込んでいく。

 しかしその動きがわかったのかレーザーをこちらめがけて放ってきた。



「っわ! ……っとと」



 驚いた。

 危うく穴が開くところだった。もう一歩踏み込んでいたらまずかっただろうな。


 なるほど。

 確かにあのパーティに選抜されただけある。

 名前はちょっと覚えていないが……リュネの美声に耳が奪われていたから仕方ない。


 評価しながらも心のどこかでは彼を見捨てた連中の一人なのでここは矜持をズタズタにしておきたいところ。



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