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23話


 幾度かの関門での検問でヘトヘトになりながらもどうにか城下の街に着いた。遠くから見たときより随分と広大だ。

 

 この辺りは石畳で草木とは違った趣がある。

 それに活気がある。

 これまで殺風景な場所しか見なかったせいだs。全てがキラキラと輝いて見える。


 都心部に着いてから、早速城の前へ。

 税金などを受け持つ役所や貴族への応対などの建物は城の前にずらりと建っている。

 謁見など王族に要件があるときも大抵ここから手配するらしい。

 その内の一つの建物へと入っていく。


 窓口役へリュネが話をしに行く。その間妾のことを心配してくれているのか――実際は変な揉め事を起こしてほしくないからだと思うが、――見える位置で待っていた。


 都心部はいわゆる和洋折衷。

 城は洋風の眩しすぎる白。

 窓口のある城門や役所前までは青く広大な慶雲橋と

巨大な石造りのアーチ橋。橋だけでこの国の豊かさ、を語っている。


 妾は暇だったので窓口付近の地図を見た。

 都市は円状になっているらしい。

 ちょうどこの城を円の中心として西。つまりアーチ橋を渡ると煉瓦造り。

 東は慶雲橋を渡れば歴史ある木造の建物と分かれていた。

 博物館、美術館も数知れない。

 これも戦勝国だからこそか。


 それはそうと、妾が一番期待しているのは宿泊施設。

 ずっと野宿だったのだ。

 話に聞く豪華なホテルだろうか。

 期待に胸を膨らませていく。


 

 ――どこだろうか。

 安全を取りたいが……。

 いや。ここにいる以上安全なところは無さそうだ。リュネの采配に任すか。

 あ! 一応この国の騎士だ。ここに住んでいるだろうし、リュネのお家でも良いか! 何故今まで気がつかなかったのか……。

 お家デートか……。

 できれば街巡りデートとやらを楽しみたかった。


 どちらにせよ妾にはちょっと敷居が高いか。



 悶々としていると「許可が出た。行くぞ」とリュネから声がかかった。

 

 ……一度捨てた仲間だし、まあ即対応するだろうとは思っていたが速いな。



 今は黄昏。

 純白に染め上げられた城内は徐々に闇に包まれている。しかし日中は随分と煌々としていてそれだけでもリュネはダメだろうな。

 城で働いている人も疎だ。

 交代の時間だろうか。

 ダンジョンでも魔物たちの疲労を考えて交代させていた。そういうものがあるはずだ。


 ここは彼にとっては勝手知ったる場所。

 今は忌々しいかもしれない。

 妾は着いていくだけ。

 途中何かを見て閃き立ち止まる。


 絵だ。

 風景画らしい。それにしては暗い。

 水平線のみ橙に描かれているため、夜明けか。はたまた夕暮れか。

 なんだか魔王のいた場所にも酷似している。

 


「……これに君の姿が描かれていたと思ったのだが……私の思い違いか」


「……えーっと。確か死ぬ前うわ言のように言っていたあれか。てっきり妾を天使か何かだと勘違いしているとばかり思っておった。違うのか」



 素直な感想を伝える。

 帰ってきたのは怪訝な顔。違うと顔に書いているのが気に触る。

 なんだ。天使と思わなかったのか。

 

 しかしこれによって緊張が解れたのは事実。

 リュネを小突いて先を歩かせた。

 

 お互い口には出さないが、案内の人を遣さなかったり、ここまで警備兵がいないのは見知った騎士を隣に見たからか。

 脅威にさえ思われていないのだろう。

 逆に不安になる。


 警戒するのに越したことはない。

 そう思いながら進み、とうとう王座のある部屋へと繋がる扉の前に立ってしまった。

 



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