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試練 幼年期の終わり 続々


「愚弟。寄りかかるな」


 ジーナ姉の言葉の意味が一瞬わからなかった。

 目の前で巨木に祈るような姿勢で手を添える姿のまま、そんなことを言われたのだから当然だろう。そもそもジーナ姉の近くにはいたが寄りかかるような距離にいるわけでもなかったのだ。


 寄りかかっていたのは、何の変哲もない樹木である。


 まさか、このことを言っているのかと気づいた時にはものすごい形相で睨まれた。急いで避けるとジーナ姉はもうひと睨みしてから、また祈るように瞼を閉じた。

 どうやら正解だったらしい。実力行使の前に気づけてよかったとほっと胸を撫で下ろした。

 

 ジーナ姉の魔法は植物と対話することである。

 

 対話。つまり、普段おれを文字通り吊し上げているのも、魔獣どもを切り刻んだり圧殺したりしていのも、全て姉のお願いを聞いていた謎の植物どもなのである。

 いや、謎すぎる。ただの植物なのにどうして魔獣までも殺すことができるんだろうか。ジーナ姉が言うには彼女がお願いした植物は特別な力を得て、どんな敵でも屠ることができると言う。

 はじめて聞いた時はとんだ厨二病だと思ったが完全に嘘ではなかったようだ。

 

 実際、こうして祈る様子はあまりにも膨大な魔力に溢れている。

 下手をすればフレイヤさんが魔法を発動する時に匹敵するほどの。


「ちょっと。なにボケっとしてんのよ、あんた」

 

 ゲシっと膝裏を蹴られた。

 イーナ姉は不機嫌さを隠そうともせず、おれを睨んでいる。いきなりの奇襲は、まぁ、昔からのことなので気にしない。そもそもスキンシップの一環と思っているようなので今更直そうと思わなかった。

 そもそも痛くないし。

 所詮十歳そこそこ(見た目は成人女性)の子供に対して悪意を抱く方が阿呆だって話である。


「いや、なんだかジーナ姉のあんな姿はじめてみるなって」


「姉をいやらしい目で見るとか変態なの、あんた?」


「いやらしいって…ただ、ものすごい魔力が見えるから」


「ああ、あんた、目がよかったんだっけ」

 

 目がいい?

 妙な言い回しだなと気にはなったが特に追及しようとも思わなかった。というか、そんな時間がなかったのだ。ジーナ姉の祈りが終わったからだ。


 もちろん、ただ祈っていたわけではない。

 ジーナ姉は植物と対話ができるのだ。それも、この場にいる植物だけではなく、遠くにいる植物でも。ただ、今の言い回しは正確じゃない。

 植物同士は繋がっているのだと言う。

 だから、遠くの樹にも呼び掛ければ答えてくるのだと。


「まだみんな戦ってる。でも、父と母は遠くにいる。多分着くのに一晩か二晩かかると思う」

 

 そんなことが出来る彼女の言葉に暗澹たる気分になる。

 最高戦力がいない状況で襲撃に遭っているのだ。それに失望を覚えるのは当然だろう。

 けれど、


「でも、大丈夫だと思う。あの女が戦ってる。あの、イトウサクナが」


 その言葉に驚いたのと同時に安堵した。

 

 あのゴリラなら大丈夫だ、と。

 

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