試練 正気に戻れ 弍
「あなたの熱意に負けて…っていう話ならいい話なんだろうけれど、ごめんなさい。あなたを攻撃したのは私なの」
?
言っている意味がわからない。あれか、変なことを言ったもんだから反射的に殺っちゃいましたって話なんだろうか。とにかく、後頭部に受けた衝撃の正体はフレイヤさんだってことだけはわかった。
そう考えるとこの待遇も当然と言えば当然なんだろうか。いや、周囲の反応からしておれの方が重罪な気がする。まぁ、見知らぬ中年にプロポーズまがいの告白とかされるなんて前世では通報案件なんだからある意味当然の話なんだろうか。
いや、でも、だからって、どうしておれの要望を叶える話になるんだ?
「それで、治療しようとしたんだけれど、どうしてかあなたには効かなくて。だから、契約させてもらったの。お陰で私の治療もあなたに効くようになったんだけれど、ごめんなさいね、あなたの意思の確認すらしなかった」
「いや、それはしょうがないんじゃないですかね…」
うん、中年おっさんに言い寄られてパニックになったっていうなら推定無罪な気がする。…もうやめよう。こんな不毛なことを考えてもしょうがない。
どうでもいいことを考えている自分に喝を入れる。
すでに後頭部の痛みも引いているし怪我も治っているはずだ。だったら、この提案に乗っかるのが今の最善手である。
押し込み強盗が無罪を勝ちとったような気分だが、まぁ、体を張って得た報酬と思えばそこまで悪い気分にもならない…わけがなかったが、とにかく結果が今は一番大事なのだ。
これで、おれは元手を手に入れた。
ここから自分のスキルをどう使うかが大事になってくるってわけだ。
「ふ、ふふふふふ、ふは、ははははははは」
「えっ、あの、どうしたの? まだ、頭治ってない?」
「愚弟。とうとう頭がイカれたか…」
「笑い方まで気持ち悪くなってる…」
姉二人にドン引きされようとどうだっていい。
おれには困惑した表情の女神がいるのだ。これからの人生ようやくチートスキルで無双ができる…!
これまでの努力全てがこの時のためだった。
魔力が使えねえからってバカにしてた連中め、見てろよ、おれがこの世界で名を轟かせて気ままなスローライフを過ごしてやるんだ…!
我ながら意味不明なテンションのまま、これからのことに思いを馳せるだけでワクワクが止まらなかった。
「あ、それでどうすればいいんですかっ?」
「え? なにが、かしら?」
「だから、金貨を引き出す時ですよ。お願いすればいいんですか? こう念じるっていうか、それともフレイヤさんを呼べば」
「俺だ」
「へ?」
我ながらハイテンションで疑問をぶつけていると、なぜかアスラのやつが手を挙げている。怒りの滲んだ表情を浮かべているのは気のせいじゃ無いだろう。
え、おれのテンションそんなにウザかった?
そんな疑問が浮かんだが、なぜか、アスラはどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「お前が俺にお願いしなきゃ小遣いはやんねーってことだよ。わかったか、この馬鹿!」
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