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試練 正気に戻れ

「あ。…その、大丈夫?」


 女神がいた。

 いや、違う。フレイヤさんだ。

 暖かい何かに包まれているような不思議な感覚。ぼうっとした頭でフレイヤさんを見つめていると優しい笑顔を向けてくれた。可愛い。視界の光景と後頭部の感触から膝枕されていることに遅ればせながら気づいた。でも、下手に慌てるとこの時間がなくなるのでしばらくぼんやりとしたふりをしていることにした。


「お、おい、しっかりしろよトール」


 アスラ。

 なぜかおれとフレイヤさんに割り込むように顔を覗き込んできた。

 表情も怒っているのか心配しているのか絶妙な感じだった。

 ああ、こいつか。

 何が起きたのか大体察することができた。

 どうやら、おれは後頭部に一発くらっちまったらしい。

 なんでそんなことをされたのか冷静に考えてみたが、まぁ、自分の発言のせいなのは間違い無いだろう。我ながらメチャクチャな言い分でメチャクチャなことを言ったもんである。


「…なにがあった」


 その事実を流すためにも記憶がトんだふりをする。 

 まぁ、実際、こいつがやらかしたのかはまだわからないのだ。いきなり問い詰めるのもなんだか筋違い気もした。


「愚弟。お前は自分の発言を慎重に検討してから話せ。死ぬぞ?」


「さっきのなに? きっしょ」


 うん、容疑者はさらに増えたか。

 姉二人の視線が殺意増し増しだ。そこまで怒らなくてもいいじゃねえか、と思いつつ、逆の立場だったら強制退場させてただろうなと思った。いや、実際、自分たちよりもはるかに格上な存在を前に頭のおかしいムーブをしすぎていた。

 

 前世を含めて四十年以上生きた人間の振る舞いとは絶対言えないだろう。

 

 けれど、それだけ生きているとチャンスを掴むことの重要性というのも骨身にしみて痛感しているのだ。あの時に一言でもかけていれば、とか。あの時、もうひと頑張り出来れば、とか。あの時、もう一歩踏み込んでいれば、とか。

 そういう『もう少し』の積み重ねが人生においてどれだけ重要なことなのか。

 それを知っているからこそのさっきの発言である。うん、我ながら意味がわからない。周囲の空気を察して自己防衛しようとしたがまったく出来なかった。

 いや、ほんと、自分でも自分を擁護できないとかどういう状況なんだろう。


「よかったわね、目が覚めて。フレイヤさんに感謝しなさい、普通こんなことしてくれないから」


 ミァハさんですらどこか呆れたような様子だった。

 まぁ、舞い上がったバカがやらかし続けた結果みたいな状況なんだから当然か。誰だって突き放すような態度になるのは間違いないだろう。イナンナさんに至っては無表情でおれを見下ろしていた。怖い。

 

「あー、そのすいません」

 

 とりあえず謝罪をした。

 まずは場の雰囲気を落ち着けるのが大事だ。そこから再度交渉をしなければ。さすがに一連の行動で報酬の話がご破産にはなっていないだろう。…なっていないよね? まぁ、そこは七歳児の駄々っ子力を発揮するしかないかもしれない。いや、四十代でそんな真似できるかわからないが見た目は幼児なんだから問題ないと思いたい。

 そんなおれの思考を読み取ったのかはわからないが、


「私の負け。あなたの要求を飲むわ」


 そんなわけのわからないことをフレイヤさんは言った。


 え、なんで?

 

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