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試練 決断編

 命を救うならその命を得ることが代償となる。


 安直な考えだったが、おれはそれが正しいことと思った。等価交換というなら命には命しかないし、過去に使用した時も似たような経験があったからだ。

 

 借り、あるいは友情とでも言えばいいのか。

 強制執行により相手の支配権を得て、それまでの親密度に応じた魔力を解放する。

 

 アスラに使った融資スキルの使い方がこれだ。治療といえども根本は変わらないはずなので、代償となるものが存在すると考えた。だから、相手から人生をもらう代償で、命を救う行為を行うことでスキルが正常に作動すると思っていたのだ。

 

 けれど、それは間違いだった。

 そんな等価交換は存在しないのだ。

 

「…くそ、ダメだ! 治らねえ!」

 

 布越しに触れた体がどんどん冷たくなっていく。

 スキルが発動する手応えはあった。けれど、何も起こらない。親密度、あるいは代償となる対象が釣り合っていないせいだろうか。

 死にかけの人間の残りの人生というのが原因かもしれない。残り少ない時間では命を救うなんて出来ない──。


「しっかりしろ! ダメだって、なんだってこんな…っ!」


 頭に浮かんだ考えを必死に否定する。

 とにかく何かできることをしなければならない。ジンキを流す? ダメだ、これは自分の肉体にしか効かない。そもそも、ミァハさんに対して試したりもしたが、逆に傷に障る兆候があった。これ以上無駄に苦しめてどうするんだ。やはりスキルを使うしかない。他の誰かが治療に使っていたの見たことがあるとイナンナさんは言っていた。なら、おれにもできるはずだ。はずだが、こんないきなりやれって言われたってできるはずがないじゃないか。


 無意味な思考が止まらない。

 

 周囲ではみんなが懸命に魔獣を払っているのに、おれだけがなんの役にも立っていないのだ。せっかく修行までしてここまできたのに、おれは一体何をしているんだ。

 今から魔獣を倒したって意味がない。ここで三日の間生き残ったとしても、ミァハさんを見殺しにした時点で負けだとしか思えなかった。

 

 負け。今、目の前で死にそうになっている状況でそんなものがあるのか。


 そもそも、この試練自体がおかしい。開幕から落とし穴とか過去に踏み込んだ時には仕掛けられていなかった。あれか、例の迷宮に入った際のメンツや強さで危険度が上がるとかいうゲームみたいなクソ仕様のせいか。強い魔獣が出るようになるだけかと思ったが、殺しにくるとかどんなクソゲーだよ。

 

 ああ、そこで気づいた。

 そもそもの元凶はこの迷宮なのだ。

 そこに気づいた瞬間、おれは叫んでいた。

 

「アスラ!」 

 

 スキルを発動する手応え。アスラが応じる前に支配権も発動し、貸し付けた借りを全て魔力へ変換した。


「この迷宮をぶっこわす!」


 宣言と同時、アスラの魔力を解放した。

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