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試練:過酷編 続続々


 魔獣の咆哮が響く。


 今の会話すらも連中にしてみれば襲いかかるのに十分な隙になるらしい。複数の魔獣が同時に飛びかかる瞬間をジンキで強化した視力が捉える。全身にジンキを纏い、ミァハさんに覆い被さった。

 

「…邪魔」


 一言。

 イナンナさんから一瞬だけ魔力が迸ったのを見た。それだけで飛びかかってきた魔獣が細切れになった。いや、本当に細切れだ。下手に視力を強化したせいで断面まで見えちまったもんだから吐きそうになっちまった。


「…こいつらは私がなんとかするから」


 イナンナさんはそれ以上何も言わなかった。

 かといって続く言葉に心当たりがなかったわけじゃない。ようはおれにミァハさんを治せと言っているのだ。

 けれど、何度考えてもあり得ない。

 

 融資には目的が必要なのだ。車を買う、家を買う、生活費、その他冠婚葬祭の支払い。これらはあくまで個人ローンの範疇。おれがやっていた法人に対する融資とは全くの別物に当たる。

 なぜ別物かと言えば返済原資が違うのだ。法人融資の場合は返済原資は売上や収益となる。一方の個人ローンは個人所得がそれに当たる。

 ようは、これこれを買うために現金が必要なので貸してください。だけでは当然融資は不可能で、今後も働いて個人所得を得られるので利息を含めた返済も可能ですとう条件があって初めて融資が成り立つということだ。

 

 しかし、医療費として考えると上記の前提が崩れることになる。

 

 たとえ、治療したとしても以前のように働けるのかもわからないし、収入が落ちる可能性も高い。もちろん、絶対にダメというわけでもない。フリーローンという制度もあるのだ。

 ただ、それは上記に上げた個人ローンとは違い、金利が大きすぎるため誰かに勧められるような商品では決してなかったはずだ。


「…ぁ」


 浅く、荒い呼吸。

 いよいよ危なくなってきた。

 触れた場所が異様に冷たくなっている。表情は虚ろで、さっきまでわずかながらにあった生気も完全に薄れている。

 もはやとやかく言っている場合じゃない。

 ミァハさんを助けるためにはやるしかないのだ。


「っても、どうやって」

 

 抑えた傷口から出血がおさまってきた。

 いや、顔色をみれば吹き出すもの自体がなくなってきているのだ。懸命に生きようと浅い呼吸を繰り返す姿に胸が痛くなる。そうだ、いつだって何かを成すには一つ一つの課題を解決していくしかないのだ。

 まず、傷口の修復。次に血液の補充、最後に失血の影響でダメージを受けた肉体の修復だ。


 あとはどれだけイメージできるか。

 そして、それを行うための返済原資《代償》を何にするのかを決めてしまえば。

 

 そこまで考えて、手応えがあった。

 いや、本当にこれでいいんだろうか。いや、もうするしかないのだ。

 

「ミァハさんっ!」


 叫ぶ。

 朦朧とした彼女に聞こえるように。


「あなたの人生をくださいっ!」

 

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