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試練 十


「ちょっと、あんたまた女の知り合い? なに、あたしたちよりも村の連中と交流があるってどういうことなの?」


「愚弟。あまりチャラすぎると私たちの信用にも関わる。交友関係を根こそぎ吐き出せ」

 

 ようやく迷宮に突入という段階になって、何故か姉二人に詰められるおれ。

 いや、まぁ。ある意味当然の疑問ではある。狭い集落の中で見たこともない戦士がいて、それが身内と険悪な雰囲気になっていれば気にならないという方が無理な話だろう。

 ただ、どうにも女の部分が強調され過ぎている上におれの方に問題があるような言い方には納得できないと思った。思っただけで反論すらできないのだが。

 おとうとはあねのどれいです。


「いや、まぁ、知り合いっつーか敵っつーか」


「敵?」


「愚弟。姉にごまかしは通じない」


 いや、事実なんだけどなぁ。

 流石に馬鹿正直に話すのが正しいとは思えなかった。もちろん、それ以前にアウラの言葉を信用するかどうかの話になるが、まぁ、問題ないと思われる。一度長老に懲らしめれらた上に、伊藤咲奈から命まで救われているのだ。

 そういう経緯を考えれば、彼女自身を信用するのはありと言えばあり、なんだろうか。一番の問題は、こんな采配をした長老である。

 

「何をもたもたしている。時間は有限だぞ」

 

 アウラはそう言って迷宮に向かって行った。言ってることは正しい。けれど、まぁ、流れで納得するような人間がこの場にいないのが問題である。ああ、そうか。あの女、面倒くさくなる前に逃げやがったな。


「俺も気になる。…なんか、あの人会ったことある気がするんだ」


 余計な勘の鋭さを発揮しやがって。

 アスラまで追求に参戦してきやがった。そりゃ、自分を攫った相手の顔だ。記憶のどっかに残っていることはあるだろう。けれど、それを指摘するのはどう考えても悪手だ。しかも三日間過ごすと言っている。最初の1歩目から信頼関係が崩壊しては、ただ過ごすことすら困難になってしまう。

 繰り返す思考の中で既に答えは出ているのだ。

 

 とにかく、こいつらにはアウラの正体を喋っちゃいけない。

 

 かと言って、適当なごまかしはすぐに見抜かれてしまう。なら、黙秘しかないじゃないか。三人の視線が痛いが、とにかくどこかのタイミングで強引にでも迷宮に連れて行こうと覚悟して、


「…あまり、いじめちゃだめ」

 

 背後からか細い声が降ってきた。

 背中の柔らかい感触がさらにました。いや、でかい。それだけでうんざりした気分が消えてしまった。


「イナンナの言う通りよ。今は儀式の最中。交友関係は後で聞き出しなさい。考えるのは無事に生き残ることだけで十分でしょ。わかった?」

 

 さすが年長者たち。

 助け舟を送ってくれた上に、場の雰囲気を一瞬で変えてしまった。

 これには流石の姉二人とアスラも何も言えることはなく、渋々といった体で追求をやめてくれた。もちろん、後で殺すと言わんばかりの視線は注がれているが。

 あねにさからったおとうとにはばつがまっている。

 

「それじゃ、行くわよ」


 全員の意識が迷宮に向いたことを見てとって、ミァハさんは早速迷宮へと向かった。

 一度は踏み込んだ場所である。あの時は長老もいて、戦士候補生に守られていた。けれど、それでも、どこか警戒心が薄れていたのは否めない。

 まずは野営できるような場所を探そうなんて、お気楽なことを考えていたんだから。

 

 迷宮に足を入れてほんの数時間程度で、おれたちは試練の重みを味わうこととなる。

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