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異世界人


 アグニル一家の一員となって一月が過ぎた。

 その間に波瀾万丈な出来事が起きたかと言えばそんなこともなく。そもそも、赤ん坊でしかないおれができることなんてないのだから、ただミルクを吸って寝て起きての繰り返しだった。

 気になることと言えば、意外にもアグニルさんやシーラさんはほとんど家にいないことだった。飯時以外はイーラとジーラがむずがっても誰もこない。しばらく彼女たちが泣き叫んでしばらくしてから長老や他の老人たちがやってくるというパターンが主だった。

 ちなみに、彼女たちとおれはオムツを履いている。

 哺乳瓶や粉ミルクと同じようにオムツもおれがいた世界のそれと全く同じ形状をしていた。ここまでくれば長老が言っていたことを嫌でも意識する。

 おれと同じように異世界から来た存在。

 そういう人たちがこの世界で生きているのだ。できればその人たちと会ってみたい。


 正直、おれには前世の知識を使って何かをするなんて真似は出来ない。そう言うことができるのは本気でそのことに取り組んでいたり、職業として得た知恵を活用できる人間だけだ。

 

 だから、その人たちとの伝手を手にいれたい。出来ないことを出来るようにするのは難しい。けれど、出来る人から助力を得られれば、自分で出来るようになるよりもハードルは低くなる。もちろん、自分で出来るようになることが理想だがそれだけで生きていけるほど世間は甘くない。

 この考え方もおれにとっての職業柄の考え方そのものだ。

 営業で取引先とのやりとりは商品の売り買いだけじゃない。関係性を構築することで繋げていくことが大事なのだ。

 …まぁ、それをうまく出来ていたかなんてことは全く別の話ではあるんだが。


「起きてるかー? 飯の時間だぞー?」


 そんなことを考えているとシーラさんがやってきた。

 イーラとジーラの元に行き、二人をベビーベッド(これもおれの世界にあったものと同じ規格に見える)からとりあげだ。これまたちなみに、おれと姉妹のベッドは別だ。なぜか彼女たちはおれに興味津々で動けないおれをこねくり回すもんだから、何とか別のベッドにしてもらうように頼み込んだのである。

 ぶつくさいいながらも要望を叶えてくれるシーラ母さんまじ女神。


「なんだ、トールはまた起きてるのか。寝ないと大きくなれないぞ」


「いや、お腹すいちゃって」


「そうか。たまには私のを吸ってみるか」


「結構です」


「…そうか」


 ことあるごとに乳を吸わせようとするのは勘弁して欲しい。

 しゅんとしている姿が可愛らしいのはずるいと思った。そのうち根負けしないように気を引き締めなければ。

 

「この子ですか、シーナさん」

 

 と。

 聞きなれない声が聞こえた。

 おそらく若い女性の声。

 一月でようやくみじろぎが出来るようになった肉体を駆使し、声の方へ視線を向けた。

 

「うわ、かわいーっ! 間違いない、これ、私たちの世界の子ですよ!」


 そこに予想通り若い女性がいた。

 顔立ちは日本人。

 今言ったことが本当なら異世界からこちらにきた同類のようである。


 

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