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地獄の三番線時 続々


 いや、驚いた。ここまで健康的な美人に成長するとは思わなかった。というか、そもそも女だと気づかないおれもおれなんだろうが。

 久しぶりに会った姪っ子が成長した姿を見たときと近い感覚だ。なんというか、接し方がわからない反面たまらなく嬉しくなってしまうのである。

 でっかくなったなあ、とかおっさんの感想が浮かんでしまう。まぁ、前世の時点でおっさんそのものなんだからしょうがないことなんだろうが、それにしても友人だと思っていた人物がここまで急成長するとは思わなかった。


 いや、数日で小学生が高校生になること自体おかしいだろうが。


「ほんとに、アスラか?」


「なんだよ。そりゃ、確かに成長したけどよ…あ、お前、おれが女らしくなって照れてんだろっ?」


「ああ。めちゃくちゃびっくりした」


 びっくりしたというか信じられなかった。

 いや、どう考えても普通じゃない。あの村で七年生活していて同じようなこことは一度もなかったはずだ。赤ちゃんの頃に見た集落の小学生くらいの女の子が大人の仲間入りする過程を見ているのだから。…我ながら変態じみた言い方だと反省する。中年のおっさんが考えることってのはどうしても生生しくなるのだ。


「あ、ああってお前…っ。なんだよ、急に変なこと、言うなよ…」


 顔を赤くする姿が尊い。

 いや、正気に戻れおれ。

 そんなことよりも確認しなければならないことがある。


「父さん」


「なんだ」


「なんで、アスラは成長したの?」


「たくさん食べてたくさん動いてたくさん寝たから、かな」


「んなわけねえだろっ!」

 

 初めて父親を怒鳴りつけたかもしれない。おれがブチギレているのを見て、さすがに思うところがあったのか父も腕を組んで考え込んだ。

 すぐに結論が出たい。


「実は、おれにもわからないんだ」


 それでいいと思ってんのかお前は。

 言いたいことは腐るほどあったが我慢する。てっきり父が何かしたのかと思ったが違うらしい。すっとぼけている可能性もあったが、嘘をつく理由もないので違うだろう。他に原因があるとすればあの猛獣の肉のだろうか。けれど、同じものを食っているはずのおれには変化がなかった。

 自分の手を見てもそうだし、水を鏡代わりにしてみても以前と同じ顔があるだけだ。目線だって変わっていないし、誰も言わないところを見ると何も変わっていないのは間違いないだろう。

 

 となれば、残った可能性は一つ。


「ん? ああ、ボクが原因だよ。素質があったからね。その方が楽しいと思って」


 猫そのものの仕草で毛繕いをしながらバスにゃんは言った。

 いや、可愛いんだけれどやることが怖すぎる。

 なんだよ、強制的に成長させるってのは。妖怪じみた魔獣だと思ったが、まさか、本物の化け物だったとは。

 怒るべきなのか、恐るべきなのか、それとも礼を言うべきなのかわからず、折角軽くなった頭がまた重くなったのを自覚した。

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