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地獄の二番煎じ 終点


「おい、トール! バスにゃん独り占めすんじゃねえ!」

 

 しばらくぷにぷにの肉球で弄ばれてたらなぜかアスラに難癖つけられた。

 未だに体調は最悪で、悪態に悪態を返すだけの気力も湧かない。抱き抱えられたおれの近くにやってきて、そのままもふもふに体を埋めやがった。

 バスにゃんはにゃはははーと笑っている。


「やきもちやきだにゃー。でも、もう少し治しとかにゃいとにゃー。じゃないと死んじゃうし」


 さらりと恐ろしいことをいう。

 けれど、それがはったりと思えずおれはなすがままにされている。実際、これほど体調が悪いのははじめてだった。なんというか吐けば治るとかの次元じゃない。自分自身が衰弱しているのを感じるというか、このままだとやばいということだけは十分に理解していた。

 

「うーん、困ったな。修行に来たのに修行ができないとは」


 父親の視線を極力無視する。

 なんとかなるだろ、と圧をかけているのは理解できるが流石にこの状況で命を賭ける決断をするほどおれはイカれていない。

 というか、原因は他にあるんだからそっちに言って欲しいんだけれども。


「…なんで」


「ん? にゃにかな?」


 可愛い。

 猫の愛嬌はずるい。ずるいが、これは聞かなければならないことだと自分自身に言い聞かせる。


「…なんで、おれたちを襲った?」


「え、だって。アグニャルが遊び相手ににゃって欲しいって言ってたから」


 遊び相手。

 あれが遊びだったのかと言いたくなったがやめた。会心の一撃だった。けれど、黒猫にはダメージがあったようには見えない。所詮その程度のやりとりでしかなかったということか。

 なんだかやる気までなくなってきた。

 どうせ、おれなんて…。


「でも、驚いたにゃー。こんな小さな身体であそこまで()()()を操るにゃんて。ここ数千年はみたことにゃいね、うん間違いにゃい」


「…ジンキ?」


「うん。ああ、君が魔力の代わりに使ってたやつだよ。知らにゃいでしょ?」


 ちょっと待った。

 最底辺まで落ち込んでいたモチベーションが一気に限界突破した。

 自分でもちょっと何言ってんのかわからなかったが、今、最も聞きたいことに対する答えがあることに気づいたんだからしょうがない。力が抜け切った肉体に喝を入れ、()()()()()と向き合った。


「今、おれの治療している方法ってのも」


「そ。ジンキの応用。体内の経絡の修繕をしてるから、直ったら教えてあげる」

 

 ぷにぷにと身体中を撫で回すのが治療になるのかと思っていたが、確かに大分気分は楽になっているのだ。二日酔いの後二度と酒を飲むか症候群に近い嫌悪感があったが、治療にも使えるなら別だ。少しでも早く教えてもらいたい。けれど、大分気分が良くなったとはいえ、未だに動くのも億劫なのでなされるがままになるしかなかった。

 いや、本当にそうだろうかと自問する。

 例えば、バスにゃんの治療に合わせて体内の何か、いや、ジンキを活性化させるなんて真似ができれば、


「ダメにゃ。余計にゃことしにゃい」


 なんてことを考えていたおれをバスにゃんは諫めた。


「休むときは休む。弱っているときは大人しくしにゃきゃ生き残れにゃいよ」


 襲われるからね、とバスにゃん。

 なんでか優しい口調で野生の教えを受けたので、大人しく寝ることにした。

 

 どうでもいいがナ行がにゃってお約束すぎるんだろと思った。


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