一家団欒 二
「へぇ、やるじゃないかトール。ミトラのところの子だろ? あんた、仲良かったからねえ」
母がにやにやとした笑みを浮かべている。
その笑みを見ているとなんだか居心地が悪くなってきた。父は父で、なぜかすごい表情でおれを見ている。おれにかける言葉もなく、ただただ信じられるものを見ているかのような様子だった。
姉たちはもっと変である。普段よりもなおすごい勢いで肉を頬張っているのにものすごく不機嫌そうなのだ。その勢いに負けじと肉を食べようと思ったが、なぜか俺が肉に手を伸ばすと殺気のこもった目で睨みつけられた。
いや、自分の分くらい食わせろよ。
それでも奪うわけではないので何か別な意図があるようである。いや、まぁ、なんとなく察しはついているのだが、なんでそんな話をしなければらないのか。
「ちょっと、早く喋りなさいよ」
「いや、何だよ」
「会話の流れぐらい読みなさい愚弟。どうして相棒を組むことになったか教えなさい」
「はぁ? いやなんでそんなことを言わなきゃいけないんだよ」
「とっといいな、トール。母ちゃんも気になるよ」
「俺もだ。父親として聞かなきゃならん」
「えぇ…なんで?」
いや、ほんとなんでこの話にここまで食いついてくるんだこいつら?
意味がわからなくて誰かに助けを求めたかったが、誰もが敵だった。いや、敵は言い過ぎかもしれないが味方がいないのは間違いない。
ていうか、そんなに珍しいことなんだろうか。
疑問半分、話をすり替える目的を半分で質問で返すことにした。
「姉さんたちだって組んでるじゃないか。なんで、おれだけそんなに詳しく聞き出そうとするんだよ」
そう、イーナとジーナも相棒を組んでいる。
そもそも、この集落では戦士候補生になるまで子供同士で組を作らされる。修行の時はいつも行動し、お互いを切磋琢磨し合う文化があるのだ。流石に七歳児のおれはまだ組まされていはいないが、いずれ組むことになるのは間違いない。ただ少し早く組むことのになっただけなのだから、そこまで気にすることではないんじゃなかろうか。
そんなおれの思いを無視するように、
「あんた、ほんとにバカね。あたしとジーナが組むのとあんたとアスラちゃんが組むのは根本的に意味が違うって言ってんのよ」
「そうよ愚弟。わたしとイーナが組むのは自然。でも、愚弟とアスラちゃんが組むのは色々問題がある」
「なんだよ、問題って」
姉二人の主張は一貫して相棒のことである。
さすがにしつこすぎるのでうんざりしていたが、
「トール、こいつらが言いたいのはあんたに責任を取る気があるかってことさ。相棒ってのはそんなに軽いもんじゃないんだ」
母親まで茶化すようなことを言ってきた。
本当にどうしてここまで面倒くさいことを言われなきゃならないのかわからない。
少し苛立ちを感じて、
「当たり前だろ。責任取るに決まってる」
そう言い放った。
なんだか言い方だけを考えれば誤解を招くような気もしないでもなかったが、まぁ、アスラの言葉に応じたから嘘じゃない。
「へぇ、男だねえ。どっかの誰かの時とは大違いだ」
母親はそう言ってからからと笑った。父はなぜか諦観にも似た表情を浮かべている。姉二人は変わらずぶすっとした表情を浮かべていた。
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