使わせてくれ(懇願)
「はぁ? いや、さっきと言ってることがちが」
「わかってる。おれだってメチャクチャなことを言ってるってことはわかってるんだっ。でもな、どうしてもお前の力が必要なんだ」
「…人間排斥派のことか?」
「それもあるけれど、それだけじゃない」
これから村で生きる上で保護されるだけでは駄目なのだ。
信頼できる相手を見つけること。
信用される村の一員になること。
この条件をいの一番で満たす必要がある。けれど、所詮は七歳児なのだ。前者を見つけるのはもちろん、後者の条件を満たすことだって通常なら不可能。
けれど、おれにはおれだけの反則技がある。
「おれとお前で戦士になるんだ。おれ達なら並大抵の大人達にも負けない。村の誰よりも早く一人前になれる。そして、最強の戦士になってこの村に貢献するんだ」
「最強の戦士ってお前…」
「わかってるよ。でも、どうしてもそうならなくちゃならねえんだ。おれ一人じゃ無理なんだよ。少なくとも、今すぐに戦士になるにはお前と一緒じゃなきゃ駄目なんだ」
「すぐって、お前。俺たちはまだ子供だぞ?」
「でも、そうならなきゃならないんだ。だから、長老はおれ達に伝えたんだ」
わかっている。
おれが言っているのはおれの都合でしかない。
むしろ、アスラにとってはメリットなんてもんはかけらもないのだ。確かに、未だに七歳のこいつはおれと対等に喋れるくらいには大人びている。けれど、時折感情的になったり、なんだかんだ言っても年相応の反応を見せるくらいには幼いやつなのだ。
そいつの子供でいられる貴重な時間を奪おうってんだから、どれだけ自分勝手なんだと死にたくなってくる。けれど、それでもこいつの力がおれには必要なんだ。
だからこそ真っ向から伝えるしかないと思ったのだ。
そもそも下手に手懐けよとしたり、言葉巧みに騙すなんてやり方が上手くいくのは所詮物語の中だけだ。嘘や詐欺なんてのはすぐにバレてしまう。バレれば、その時点でご破産なんてのは下策中の下策だ。
そもそも、そんな真似で手に入れた信頼なんておれ自身が信用しきれない。
「おれに力を貸してくれ、アスラ」
「…しょうがねえな。わかったよ」
面倒そうにしながらもアスラは了承してくれた。
わかっていたことだが、ほっとする。
こいつは断らないでくれるとは思っていた。いたが、土壇場ではやはり不安になる。なにより、こいつが了承してくれたのだからあとはおれなりにこいつに対して誠実な対応を心がければいい。
まずはこいつと相棒を組んで、長老に働きかければ戦士として認める儀式への参加くらいはさせてくれるはずだ。今年は姉二人も参加するって話だったし、協力をお願いして、儀式までに準備を進めれば十分に合格も認めてくれるはず。
そこまで考えたところで、
「ただし、条件がある」
アスラが意外なことを言った。
「条件?」
「ああ。お前のわがままを聞くんだ、俺のわがままも聞いてくれ」
道理といえば道理。
というか、むしろ当たり前の話だと思った。いくら友情に頼るとしても公平性ってのは最も大事である。なにより、おれのスキル【融資】においても重要な条件でもあった。
「もちろんだ。お前はおれに何を望む」
「あー、なんだ。別に面倒くさいことは言わねえけどさ。俺とお前は一蓮托生ってわけだ」
「だから、最後まで責任持てってことだ。…その、なんだ、最強の戦士になってこの村に貢献するって話だっ! 絶対に諦めないでやり遂げようぜってことっ!」
なんだ、そんなことか。
歯切れの悪い言葉に疑問は浮かんだが、そういうことなら何にも問題ない。
おれはアスラの言葉に力強く応じた。
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