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魔獣

 魔獣が出た。


 長老の家で例の如く瞑想をしていた俺たちに向かって大人が言った。確か、アスラの姉ちゃんの一人だったと思う。兄弟がいすぎて誰が誰だかわからないが、なんとなく似ているから間違いないだろう。

 長老はそれを聞いて、そうかとだけ言った。

 この場にいる全員が集中したままである。かくいうおれも特に何も思うことなく集中を続けた。

 

 ようは、こんなことは日常茶飯事なのである。

 

 一応子供が怪我をするからという理由で伝えにはくるものの、大人たちがすでに対処に出ているのだ。そろそろ異世界バトルなども経験してみたいなどと不謹慎なことを思ってはいたがそれはしばらく先のことになりそうだ。


「トール」


 余計なことを考えているのがバレた。

 もう一度呼吸へと意識を向ける。他の連中はさっきと変わらず集中しているらしい。むしろ、魔獣の襲来が気になったのはおれだけらしい。まぁ、この家が一番安全なのだから当然かもしれない。ここには大人が数多くいるし、所謂戦士と呼ばれる人間も常駐しているのだから。

 

「…アスラ?」


 と。

 ここに魔獣の存在を知らせた女性が声を発した。

 

「長老、アスラがいないっ!」


「なんじゃとっ!?」


「おい、アスラどこいったか知らないかっ!」


「わかんない! でも、さっきまでいたはずだよ!」


「うん、一緒にここに来た!」


「じゃ、なんでいないんだよ!」


 一瞬で場が騒然となった。

 つーか、今日は珍しくちょっかいをかけるやつがいないとは思ってたが…っ! 

 薄暗い室内に視線を走らせても、彼女の言葉通りアスラの姿はない。いつも仲のいい連中ですら誰も知らなかった。

 これだけ慌てるのには当然理由がある。

 あいつは過去にも同じことをしでかしたのだ。


「いかんな。《《また》》村の外に出たかもしれん」


 戦士の戦いぶりを見に集落を出て、農耕地すら飛び出した。そのせいでさまざまな騒動を引き起こしやがったのである。

 

「今日はここまで。ただし、この家から出てはいかんっ! アーシェ、ここで子供たちの面倒を見てくれ!」

 

「はいっ!」


 慌ただしい空気を鎮める時間もないと判断したのか長老はすぐに広間を出て行った。この場に残った子供達は皆不安そうな顔を浮かべている。普段はクソ生意気だが、やはり中身は子供なのだ。こういう事態には慣れておらず、何もできない状況への対処法が身についていない。

 いや、おれだってそんなものをちゃんと身につけているわけではなかったが、


「トール、お前はわしと来るんじゃ」


 今回に限っては違う。なにせ、二度目なんだから。

 

 前回の時はおれがアスラを助け出したのだ。それがきっかけで、あいつとおれは友達になったのである。あいつに対して横柄な態度をとっているのも、その出来事が理由である。

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