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死の行方 七


 はじめは虫だと思った。


 迷宮から飛び出したそれは縦横無尽に空中を這い回る。ほら、あれだ。映画なんかで見る群体で一つの生物みたいに動き回る化け物。羽音みたいな異音も響くもんだから、そのグロテクスさに一瞬だけ目を逸らしてしまった。

 でもそれも無駄。

 逸らした先の視界までもを埋めるように、群体は伸び続けている。


「気持ち悪っ! なんだよあれ!」


『末路わぬ者どもだ。未成熟なれど、あれなら苗床を食い散らかすやもしれん』


「苗床、って…?」


『貴様らが迷宮と呼ぶものだ』


 食い散らかす。

 言葉の意味自体は目の前の光景が証明している。というか、もはや食い尽くしたんじゃないだろうか。地上に出てきているし、その巨大さはおれ個人ではどうにもならないレベルの話になっていることだけはわかった。

 

 そう、これはおれが対応できる話でも対応すべき話でもないのだ。


『なに、あの程度なら問題ない。焼きはらえば村に被害は及ばん』


「ちょっ、ちょっと待った!」


 スケールの違いに呆然としていたが聞き捨てならない言葉に正気に戻る。

 

 《《焼き払う》》。

 

 それは絶対に容認できなかった。

 あそこには、


「駄目だ! あそこには大切な人がいるんだ!」


 フレイヤがいるのだ。


『む』


 龍がなぜかおれを見た。

 正直言葉が通じるとは言え、話が通じるというか言うことを聞くとは思っていなかったのでビビってしまう。

 知性が宿った瞳がどこか非難じみた雰囲気を宿しているのは気のせいだろうか。


『…大切な人?』

 

「ああ、そうだ」


 沈黙。

 やはりなにか気にくらないことがあるんだろうか。あれか、やっぱりおれ如き人間が意見したのが不敬すぎておれから燃やし尽くそうかとか考えているんだろうか。

 背筋に冷たいを感じながら、おれは龍の言葉を待った。


『それは、女性?』


「え」


『だから、それは女の人なの?』


 あれ?

 なんか口調が変わった気がする。

 というか、なんで性別を気にしてんだ?


『答えて』


「あ、ああ」

 

 なんだか圧が強まった気がする。

 隠す必要もないんだが、どうにもそのまま言うのはまずいような気がする。けれど、この状況で気の利いた言葉や言い回しなんて気にしている場合じゃない。

 視界の端では未だに巨大な化け物がその体をさらに成長させているのだから。


「婚約者がいる。助けたいんだ」


 我なながらなんの捻りもない言葉だった。

 けれど、だからこそ龍に響いたのかもしれない。

 穴が開くように強烈な視線をしばらくむけてから、龍は突然視線を逸らした。

 と、思ったら。


『うわああああああああああん、奪られたぁあああああああああ』

 

 なぜか、そんな悲鳴にも似た叫びを上げた。

 いや、何言ってんだ、こいつ?

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