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死の行方 三


 フレイヤは合理主義者である。

 明るい雰囲気で誰にでも接するがその本質はどこまでもドライだ。まぁ、迷宮主として君臨している以上、迷宮に訪れる冒険者に対してどうすれば攻略させないかと言う点を徹底的に考え、実装するのは至極当然のことではある。おれが初めて出会った時に行ったアミューズメントもどこまでも計算し尽くされたものだった。

 今回のケースの場合、彼女の行動はある種徹底するだろう。

 原因の究明という点において、どこまでも冷酷になれるということだ。それをここ数年で嫌と言うほど思い知らされた。

 村への襲撃の度に厄ネタを持ち込んだ時、そして、おれ自身のスキルが変質した時。

 どのケースでも彼女は容赦なく実験と実証を行った。

 身をもって味わったもんだからよくわかる。

 そりゃ、確かにおれ自身調べて欲しいとは言ったがあそこまで徹底されるとは思ってもみなかった。そもそも人体実験みたいな真似までしていいとは言ってなかったはずなのだが。起床時間から睡眠時間。トイレの回数やそれに伴う成果物の調査にまで及ぶとは。

 嫌な記憶を思い出した。

 特別な性癖でもあるのかと疑ったが、


『人間を調べるなんてはじめてだもん。全部調べなきゃ』


 とわけのわからないことを言われて押し切られたのだった。

 あの数週間の出来事はいまだに忘れたくても忘れられない出来事になっちまった。


「はぁ、だめだこりゃ」 

 

 嫌なことを考えていると嫌な現実が立ち塞がるもんだ。

 鍬を振るって田んぼを耕していたがいくら振るっても嫌な感触しかしなかった。明らかに土が死んでいる。最後の悪あがきのつもりで出てきたが、どうあっても絶望的な状況には変わりがないらしい。

 鍬を抱えて、休憩のために作った小屋に向かう。

 そこに鍬を置いて、迷宮に戻ろうかと考えてやめた。

 今、フレイヤと長老と伊藤咲奈の三人が面白実験をやっている。いくらなんでもそこに混ざる気はしなかった。混ざっても役に立たないし、正直生物実験といっていいのかもわからないような凶悪な実験に加担することはしたくなかったのだ。


 どちらにせよ、あのゾンビに対する対処法がわかるまでフレイヤ達はつきっきりになるはずだ。つまり、おれができることは何もない。

 だから、こうして田んぼに来たのだが、結局何もできることはなかった。他の土地を開拓しようにも、魔力の残留が致命的な場所しかない。

 本当に積んでいる。

 仕方ないから家に戻ってぐうたらするか、と思っていたら、


 ずしん、と地面が揺れた。


「地震?」

 

 懐かしい感覚。

 そう言えば、この世界に来てから地震に襲われたことがなかったことを思い出す。いや、違う。厳密には地面が揺れた感覚は何度か味わったことがある。そう、あれは確か巨大なモンスターが現れた時特有の、


「あ」


 背後を振り返り、全身が硬直した。

 デジャブ。

 相当昔に一度だけ見た光景を思い出した。

 そう、この世界で初めて産声を上げた時に見たのだ。


 ドラゴンを。

 

 巨大な存在がおれを覗き込んでいた。

 

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