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獅子の心を学ぶ

「条件は三つ。まずはおれの成長を待つこと。二つ目は加入の是非に関しては成長した後に一年の猶予を設けること。三つ目はこの村との交易をこれまでと同様に続けていくこと」


 我ながら一方的すぎる宣言だったが向こうもそうなので気にしないことにした。室内にいる全員が驚いた表情でおれを見ている。アグニルさんとシーナさんも今度は否定せず、ただ事の成り行きを見守るつもりのようだ。長老は相変わらず感情の読めない表情でおれを見ている。そして、


「あの、いいですか?」

 

 伊藤咲奈は不思議そうな顔で手を上げた。

 それが質問を要求するジェスチャーであることを、多分、おれと彼女しか理解していない。


「なんですか?」


「三つ目いります? 時間がほしいのはわかりましたけど、この村との交易は何も関係ないじゃないですか」


 まじかこいつ。

 あまりにも頭お花畑の発言に嫌味か何かかと思ったが、本気でそう思っているらしい。この状況で圧力をかけてきたくせに、そこまでの想像力を持っていないようだった。

 いや、まぁ、確かにおれとこの村をイコールで結ぶのはある意味おかしいと言えばおかしい話だ。伊藤咲奈にとって、おれは同じ日本人という枠でしかない。で、同じ日本人同士で協力するのは当たり前というのが彼女の主張の根幹にあるものなのだ。

 であれば、ああ、なるほどと納得した。

 今までの話は彼女にとってあくまで注意でしかなかったということか。

 協調性のないクラスメートに対する委員長の役割的な。いや、赤ん坊にそれを求めようとするのは流石にどうかと思うが。


「それに私だって、今すぐ協力してほしいなんて言いませんよ。ただあなたのスキルは私達の組織においても、そして、これからのこの世界にとっても重要なものなんです。だから、それを使わないというのはあまりに勿体無い。というか、許されないことだ思うんです。だから、大事な家族会議にも割り込ませていただきました」

 

「勝手なことを言うな…っ!」


 シーナさんはおれを抱く腕を強めながら伊藤咲奈を睨みつけた。

 おれも完全に同意である。

 そもそも世界にとって重要なもの、と彼女は言う。

 いや、スケールデカすぎてついていけない。あれか、どうやら世界を救うとか調和を保つとかそういう思想まで持ってるんだろうか。

 

 いや、なんで他所者が世界を救うなんて考えるのか。

 

 日本人はあくまで日本人だ。この世界の住人でもないのにそんなことを考える事自体恥ずかしいとか思わないんだろうか。厨二病ですらない、あまりに傲慢すぎる考え方である。

 本当ならこのままお引き取り願いたい気持ちの方が遥かに強い。強いが、それではダメなのだ。

 なにせ、今の問答でおれが最も重要なことだと思っていたことを大和が知っているということがわかったからだ。


「咲奈さんの想いはわかりました。もうひとつ聞きたいんですけれどいいですか?」


「なんです?」



「つまり、おれと同じスキル【融資】を持っている人が大和にいるって事ですよね?」


 そう。

 そこが最も重要な点だ。

 スキル【融資】。

 正直、おれにはこれが使えるスキルだとは到底思えない。けれど、それを重要視していると言うことはそれだけのポテンシャルがあることを知っていると言うことだ。


 つまり、ノウハウを持っている。それを盗みたい。


 それこそが、おれがこの世界で生き残るための最重要項目であると確信していた。

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