死の行方 二
「ああ、そういうこと」
すん、とフレイヤの表情が変わった。
さっきまでの恐怖や嫌悪に歪んでいた様子からの突然の変貌に、彼女がおれたちの狙いに気づいたこともわかった。
目の前のゾンビの軍勢の正体に気付いたのである。
実は、この世界にもゾンビは滅多にいない。
そりゃそうだ、死んだ奴が生き返るとかどんな世界でも本来ありえちゃいけないことだ。それでもそういう存在が目の前にいるし、この世界の本にも書かれていた。昔村にやってきた大和の人間も知っていたから、それなりに認知された存在なのである。
ただ、いずれの場合も、
「余所者が来てるってわけ。なら、ここに来たのは正解ね」
迷宮の怪物、という名称が付いていた。
余所者、とフレイヤは言った。つまり、彼らはフレイヤの迷宮にいるやつじゃない。
他の迷宮から飛び出したモンスター。
それが魔王軍と呼ばれ、おれの村を襲ってきたのである。
「こいつらはどうして死なんのだ?」
「わからないわ。ただ、迷宮からの支援もないようですし、原理はわからないけれど周囲から生命力みたいなものを吸い取っているのかも。…うん、間違いない。この迷宮からも魔力を吸い取ってる」
「周囲からって、そんなことできるのか?」
「実際にやってるんだから出来るんでしょ。私も初めて見たけれど」
「もはや生物とは呼べないのかもしれませんね。見た目は人間ですが、中身はスライムかなにかと思った方がいいのかも」
「そうですね。その表現が一番近いと思います」
伊藤咲奈の辛辣なコメントにフレイヤは同意した。
どうでもいいが、なぜかフレイヤは伊藤咲奈に対しては敬語なのだ。しかも、おれや長老への態度が違う。
ただ、親しい間柄なのかといえばそうでもないようなので不思議な距離感がある。それが会話の中で気になって、何度か聞いてみようとも思ったのだがどうにもタイミングがない。今回もそんなことで話を区切る気にもならず、結局、またの機会にすることにした。
それより聞かなければならないことがあった。
「でも、迷宮のモンスターならどうして魔王の軍勢なんて言われてんだ? 魔王軍がそういうモンスターを使役できるってことか?」
「さて? その点に関しては不明ですが、彼らの姿を見ておかしいことに気づきませんか?」
「兵士の姿をしてることか?」
「そうです。彼らは《《紛れもなく魔王の軍勢だった》》」
「おそらく、何かの戦闘で《《敗北した後に変質した》》と思われます。それが作為的なものなのか、それとも偶発的なものなのか。その原因を調べなければとんでもないことになると思いませんか?」
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