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それからのこと 四


「絶対にやだ」


 断固たる決意という言葉がぴったりな表情でアスラは言った。

 いや、そんな生優しい表情じゃない。鬼そのものの形相を浮かべながら否定している。おれの腕をものすごい力で抱きしめながら、その視線には一人の女性を射殺さんばかりの殺気が込められている。


「ごめんなさい。でも、これは決まったことなの」


 それを真正面から受け止めているのがフレイヤだった。

 毅然とした表情と態度には目を見張るものがある。そういう内心が漏れているのかおれの腕は今にも握りつぶされそうだ。

 場の雰囲気はますます重くなっていく。

 これがアスラ一人ならまだ救いはあった。適当にあしらうこともできたし、誤魔化すことも、説得することも…いや、説得は無理か。かつてないぐらいに怖いし。

 とにかく、問題は、


「アンタ、どこまで自分勝手に決めるつもりだい?」


「そう怒るな。これは必要なことなんだ」


「…そういうすかした態度が気に食わないんだよっ! これは家族のことだっ! アンタが父親なら、あたしは母親なんだよっ!」


 おれの家族までが修羅場になってることである。

 

 家族会議。


 先の迷宮内でのやりとりの後、親父は母と姉二人を含めた家族会議を提案した。

 珍しいと言うか、七年家族をやってきて初めての提案である。いや、おれがこの家族に迎え入れてもらう時も似たようなことはしていたか。

 それ以来だから、やっぱり七年ぶりの出来事ではあるのだ。


「パパは勝手すぎ。家にいないし、死ね」


「そうだ! あたしらのこと何にも考えてないっ! 死ねっ!」


 イーナ姉もジーナ姉も敵意剥き出した。

 こっちはまだ可愛げがある気がする。反抗期の女子高生的な冷たさはあるが、それでも怒りの感情は抑えられているように思う。

 母はガチギレだが。

 うん、シャレ抜きでキレている。尋常でない魔力が迸っている。


「家にいないのはやるべきことがあるからさ。仕送りはしているし、そうかっかするな。それに父親に死ねはないだろう、死ねは」

 

「すかしてんじゃねーよ、死ね」


「最近の父さん変だよ。なんでそんなに冷静なの、死ね」


「色々あったからな」


 親父は動じることなく応じている。その態度がさらに気に食わないのか、女性陣三人の殺気が鰻登りに増している。それに比例するように室内の重圧はどんどん重くなっていく。

 なんでこんなことに。

 片腕の感覚がなくなりはじめたことから極力意識しないようにしつつ、ため息を吐いた。

 

 そもそも、なんでこんなクソ見たいな空気になったかと言えば、


「トールとフレイヤの婚姻は長老を承認として承諾されたんだ。今更何を言おうと変わらない」


 このクソ親父がおれの預かり知らぬところで更なる一手を打っていたからである。

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