それからのこと 弍
「いやいやいやいや、もう驚きはしねえけどさぁ…」
もうどうすればいいんだ、おれは。
親父のやらかしに恥ずかしいやら頭に来るやら呆れるしかないやら。今日1日だけでも随分振り回されたせいで怒ることすら出来なかった。いや、怒ってはいるのだ。頭にきてもいるんだがその感情を素直に発露できないと言うか何と言うか。
文字通り頭を抱えながら、おれはどうにかこのクソ親父を黙らせる方法を必死に考えるしかなった。いや、ないんだけどさ。
「母さんにはおれから伝えておく。二人の新居も責任を持って作る。だから、こいつの嫁になってくれないか?」
「え、あの、えっと…え、えええええええええええっ!?」
フレイヤはただただぽかんとしていたが間を空けて絶叫した。
むしろよく反応したもんである。これだけ急展開の状況で思考停止に陥ったままじゃなかったのは賞賛に値する。おれだって当事者でもなきゃ頭を空っぽにしたい気分なのに。
「ちょ、ちょっと待ってください! いくらなんでも急すぎます! そ、それにトールだってどう思ってるかわからない、し…」
んん?
なぜかボールがこっちに渡された気がする。フレイヤはどこか熱い視線をおれに向けていた。いや、流石にここまで露骨だとなんとなく察することは出来るが、え、いや、そういう間柄では間違いなくない。
なにより、おれは見た目七歳児である。
そんな風な視線を向けること自体おかしな話ではないだろうか。
「まんざらでもないようだぞ?」
「うるせえ」
茶化すような雰囲気ですらないのが癪に障る。
というか、こんな話をする場面じゃないはずだ。
「そもそも、具体的に何をすればいいって書かれてるんだ? それがわかればいいんだろ?」
まずは話を一度本筋に戻さなけらば。
滅び、と親父は言った。
その内容が書かれた本なのはわかる。読めないと問題があるからこんな茶番じみた流れになったのだ。
けれど、その内容がまるで想像できなかった。
滅びと言う言葉だけではあまりにも曖昧だ。具体的なことがわからなければ、それこそ対処なんてできるはずもない。
なら、この場で聞き出せばいいだけのことだ。
「そこまで都合の良い話はない」
「え?」
「…ダメね。どっちかっていうと何が起きるのかが書かれてるだけ」
フレイヤはため息混じりでどこか渋い顔をして言った。
使えねえ。
カビ臭そうな本を見ながらそう思った。流石に口に出す気がなかったが、明らかに態度に出てたんだろう。親父の視線が鋭くなった気がした。
いや、おれは正直あんたを睨み殺したいくらい苛ついてんだけど。
「なら、何が起きるんだ?」
「大陸が沈む」
それは滅びですね。
なんとなく想像はできていたが、あまりのスケールの大きさに二の句が出ない。というか、ここが大陸なのか島国なのかも自分が知らないことに気づいた。そんな状態のおれに何ができるって言うんだろう。
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