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それからのこと


「読めない? お前、字の勉強はしてなかったのか?」


「違えよ。ちゃんとしてたけど読めないっつってんの。こんなの見たことない」


 どのページを見ても見たことのない文字が所狭しと書かれているだけだ。ある意味記号にしか見えず、そこに書かれた意図を読み解く以前の問題である。

 何度か目で追ってみても同じ記号の一つすら判別できない。親父も覗き込んできていくつか指しながら読み方を聞いてきたが、当然わからなかった。


「…ふむ。では、フレイヤ。これは読めるか?」


「え、私ですか? …まぁ、読めますね」


「うーむ? どうなってる?」


 親父は心底不思議そうに首を傾げている。

 確かに不思議ではあった。親父の反応を見るにこの本に書かれた文字は、親父にとっては読めて当然の文字なのだろう。フレイヤも読めるということはこの世界では標準的な文字で書かれているんだろうか。

 いや、違うなと自分でなぜか否定したくなった。

 根本的に問題点を勘違いしている気がした。たぶんだが、入り口が間違っている。仮に、おれの知る文字がここに書かれていても読めない気がするのだ。

 

 迷宮のクリア報酬。

 

 それはもしかしたらクリアした当事者しか恩恵を受けられないんじゃないだろうか。


「うん、読めないならしょうがない。フレイヤ、これからは君がトールに読んであげてくれないか?」


「え。私が、ですか?」


「ああ。俺が読み聞かせるのが筋なんだろうが、時間はとれないだろうから。トールは村で米作りをするし、出来るだけ村に行ってやってほしい」


「いやいやいやいや、ちょっと待った。親父、流石にそれは無茶言い過ぎだろっ?」

 

 何を考えてんだこの馬鹿野郎。

 流石に今の発言は看過できない。なんで自分の息子への教育を赤の他人に任せようとしてんだこいつ。

 そもそも、そんな本の内容に興味もない。フレイヤにしたって同じだろうと思い視線を向けて、


「外に、出れるんですか?」


 なぜかずいぶんと驚いた表情を浮かべたフレイヤを見た。


「君の事情は知ってる。その上での提案だ」


「でも、私、まだ」


「それを解決するために俺の息子を、トールを連れてきたんだ」


「っ!」


「いや、そんな目で見られても」


 なぜかフレイヤにものすごい表情で睨まれる。

 何がなんだかわからない。さっきから、親父を中心に話が進んでいるんだか進んでいないんだかもわからなかった。ただ、どうやらなにかしらの意味があるのだけは理解できた。

 というか、多分、このパターンであれば先の展開自体予測できるのだ。


 どうせ、おれの仕事が増えるのだろう。


 そうとわかれば怖くない。おれは親父がなにを言うのか意識を向けて、


「喜べ、トール。お前に嫁ができるぞ」


 そんなわけのわからないことを言った。

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