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これからのこと 玖


 本がある。

 それもなんだか古臭くて埃くさそうな本が出鱈目に高い本棚の中に所狭しと押し詰められていた。昔、映画か何かで見たことがあるような気がする。その時は神秘的な光景にも見えたが、それに近い光景を現実で見るとやはりどこか無理がある。

 本好きにはたまらないのかもしれないが、おれからすれば前世にあったどこぞの図書館と大した違いがわからなかった。

 

 太古の叡智。


 それこそ読むことができるかもわからない代物に心躍るような気分にはならなかった。


「すご…。パパ、こんなところ作ってたんだ…」


 なぜか、フレイヤさんが感動している。

 どうやら彼女もこの場所のことを知らなかったらしい。おっかなびっくり本に触れたりする様は見ていて微笑ましかった。


「そうだ。この場所にはこの世界のすべての歴史が載っている。過去で起きた出来事はもちろん、未来の出来事についてもだ」


「未来?」


「そうだ。これから起こる出来事も予言とともにこの場所に収められているんだ」


 一気に胡散臭くなってきた。

 冗談みたいなことを言っても本当の冗談は言わないタイプだと思っていたが。予言だの何だのなんて言葉が出てくるとは思ってもいなかった。


「明日の天気がわかるとか?」


「もちろんだ。それどころか明日の夕飯の献立だったり、お前がどこで田んぼづくりをするかもわかるぞ。もちろん、それが無駄に終わることもな」


「無駄じゃねーよ」


 思わず反論したが、これまでのことを考えればそうなるだろうなと内心思ってしまった。…いや、今はそんなことどうでもいい。


「で、なんでこんなとこに連れてきたんだよ? 別に明日の夕飯なんて知りたくもねえし、なにか大事なことがあんだろ?」


「そうだ。お前にはここであることを考えてもらいたいんだ」


「考える?」


「そうだ」

 


「この世界の滅びをどう回避するかを」



 何言ってんだ、こいつ。

 さっきから怒涛の展開すぎて頭がくらくらする。壮大すぎるテーマに唖然としていると親父は無造作に本を手に取った。

 そのまま本を開くと適当なページを開いて渡してきた。


「それが第一の滅びだ。これだけじゃない。この本棚には無数の滅びがある。それを回避する手段を模索し、ある時は誰かを使い阻止し、ある時はお前自身が体を張って阻止するんだ」


「体を張るって…、そもそも滅びってなんだよ」


「? そのままの意味だが?」


 それがわかんねえって言ってんだけど。

 いや、そりゃ滅びって言葉はわかる。世界の滅びなんて聞き飽きたフレーズなんだから。けれど、なんでおれが世界の滅びなんてもんに関わらなくちゃならんのだ。確かにおれは世界最強の戦士の息子かもしれないがおれは世界最強じゃないのだ。

 そりゃ世界が滅ぶんなら否応なしに関わらなきゃならないんだろうが、そんなおれがどうして関わる必要があるんだろうか。

 

 そんなのは勇者に任せておけばいいじゃないか。

 

「滅びはどこにでもある。お前は迷宮をクリアした。そして、おれの子だ。なら、誰かを助けるのは当たり前のことじゃないか」


 本気で言ってるんだろうなぁ、と呆れるしかなかった。

 否定するのも面倒で、仕方なしに本を見る。

 

 どうやら、おれは勇者になれないらしい。

 

 何が書かれているのかわからないのだ。もちろん、おれも村で字は習っていた。けれど、それとはまるで違う字体で書かれているのだ。ぐだぐだすぎる状況というか段取りの悪さにおれはただため息を吐くしかなかった。

 

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