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これからのこと 捌

「えーっと。つまり、トールが私達とこれからも遊んでくれるってことでいいのかしら? しかも、月に一回は来てくれるってこと? 大変、宴の準備をしなきゃっ!」


「いや、いらないです。まだやることもあるので、そういうのはまた今度にしてください」


「え。そ、そう? でも、折角だし…ダメ?」


「ダメです」


 数日ぶりに迷宮に這入るとそのまま最奥にいた。

 どうやらクリアするとスキップモードが解禁されるらしい。まるでゲームの仕様だが満面の笑みで駆け寄ってきたフレイヤを見たら、文句を言う気も失せてしまった。

 同行している親父の方をちらちら視線を送っているのも何と言うか小動物じみていて、とても迷宮の主人だとは思えなかった。


「はじめまして。トールの父です」


「ええっ! お父様だったんですかっ?」


「種族は違いますが紛れもない親子です。…息子が世話になったようで」


「いえいえ、むしろ私のほうこそ! こんな出来損ないの迷宮を攻略していただいてありがとうございます! あ、私、フレイヤって言います!」


「出来損ないなんてことはない。この迷宮の素晴らしさはよく知っている。…実は君の両親のこともよく知っているんだ。どうやら、無事異界へ向かったようだね」


「! はい、今は私が管理しています」

 

「そうか、それなら彼らも安心しているんだろうな。おい、トール」

 

「え?」


 ここでおれ?

 あまりの脈絡のなさにまともな返答すらできなかった。

 親父はそんなおれの反応も気にせずに、相変わらずのマイペースさで、


「お前、迷宮をクリアしてたのか? どうして先に言わない」


 まるでおれを責めるようなことを言ってきた。

 いや、事実責めてるんだろう。おれからすれば、いろんなことが起こりすぎて報告する暇がなかっただけなんだが。

 そう反論しようかと思ったが言ったところで無駄だとすぐに悟る。この場面で言い争ったところで話が進まないし、親父の論法に丸め込まれる未来しか見えなかったからだ。


「あー、ごめん。色々なことがありすぎて話せてなかった」


「そうか。だとすると試練の時か? まったく、お前は本当におれの子だな」


 なぜか納得する親父。

 その反応に苛立ちを覚えたが、それもまた会話の流れを止めてしまうので我慢した。本当にこのおっさんはマイぺースすぎて会話についていくだけでも疲労感は増すばかりだった。


「ならば、お前も叡智に触れたか。よくここに来るのを我慢できたな」


「…あーごめん。それはどう言う意味?」


「ん? あの図書館に入ったんだろう? あれだけの知識と歴史の宝庫を目の当たりにして田んぼづくりなんて面倒なことをやっているなと思ってな」


 こいつ、ほんとにど突いたろかマジで。

 怒りを通り越して呆れるしかない。言っている意味もわからないが、そもそも田んぼづくりをしなければならなくなったのもこのクソ親父のせいである。それを棚に上げて、よくもまぁいけしゃあしゃあとしたもんだ。

 よほど不機嫌な顔をしていたのか、フレイヤはなぜか焦った様子でおれと親父の間に割って入ってきた。


「違うの! いや、違います! あそこはパパの管理しているところだからトールは見てないの!」


「なんと。なら、すぐに行かないとな」


 そう言って親父は何事もなかったかのように背を向けた。

 

「トール、お前にも古代の叡智を見せてやる」

 

 そう言って何もない空間に手を突き出したと同時に、一瞬で周囲の風景が一変した。


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