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これからのこと 七


 結局、この田んぼもダメだった。


 いくら土にお願いして田んぼになってもらったからと言って、そこに残った魔力が消えるわけじゃない。こんな場所で作物を育てても魔獣になるだけだ、と長老に冷たくあしらわれた。


 いや、魔獣になるってなんだよ。魔力が残っているからダメだって理由はそこからきてたのか。


 突然の事実に愕然としたが、やることはかわらない。むしろ手順は減ったのだからより気楽に土地探しが出来るってもんである。魔力の残留がない場所さえあれば、田んぼをすぐにでも作ることが出来るのだから。

 

 そう前向きな思考に切り替えると、


「ここにいたのか、トール。何をしてるんだ?」


 なぜか親父に呼び止められた。

 

 …親父?

 

「何でここにいるんだよ?」


 というか、いつの間に帰ってきたんだこいつ。

 突然の登場に呆気に取られたが普段からこんな感じだったなと思い出す。連絡の一つでもしろと言いたくなったが、その要求自体無駄なことだと悟る。

 この男はいつだって自分勝手で、その我儘を押し通すだけの力があるのだ。


「お前を探していたんだ。大和との最後の交渉が終わってな。長老にも結果を伝えてきたところだ。で、お前は何をしている?」

 

「田んぼ探し」


「? 田んぼにする土地を探しているということか? あのな、トール。お前には前々から言いたかったんだが、どうにも会話を端折る癖がある。それじゃ誰にも伝わらないぞ」


「あんたが言うな」


 思わず父親に使うべき言葉遣いすら忘れてしまった。

 というか、そもそも、今の返答だって意味不明なのだ。おれを探していたのはわかる。けれど、交渉の結果とかいう明らかに重要な事柄を抜かして話を進められても、困惑するのはこちらだというのをどうしてわからないんだろうか。

 まぁ、そういう他人の思考に対して不満を覚えること自体が無駄なのだ。

 幼児の頃からの付き合いでこういう人間なのはわかっているのだ。いるのだから、それを受け入れてやるしかないのである。

 

 まぁ、そうは言っても言いたことは山ほどあるんだが。


 親父の説教を聞き流し、おれはおれで聞きたいことを聞くことにした。


「で、親父は何でおれを探してたんだよ?」


「ん。それはな、最後の交渉の結果についてお前に伝えなければならないことがあってな」


「田んぼづくりの件だろ? それなら、今ちょうど探してるとこだけど」


「いや、それもある。が、他にもあるんだ。これは最後の交渉だったからな」


「なんだよそれ?」


 最後の交渉、という言葉にやけにこだわっている。

 言い方が気に入ったから繰り返してるのかと思ったが、どうにも違うらしい。何か大事なことを伝えようとしているようだったので、きちんと聞くことにした。


「で、最後の交渉ってのはなんなんだよ?」



「迷宮との外交特権だ。喜べ、トール。太古の叡智はお前のものだ」


 あまりにも拍子抜けというか、なんというか。

 すでに秘宝までもらっていることを伝えるべきなのだろうか。とにもかくにも、おれのやるべきことが増えたことだけはわかった。

 あれだ、おれが過労死することを考えてねえなこいつ。


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