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これからのこと 四


 何とか逃げきれた。

 遠くでは爆発音が響き、片付けたはずの瓦礫が宙を待っていた。流石に遺体まで吹き飛ばしているとは思わないが、不謹慎に変わりはない。多分、長老あたりが駆けつけてお灸を据えてくれることだろう。

 そう、あえて他人事のように考えながら、これからどうしようかも考える。緊急事態とはいえ持ち場を離れた時点でサボったも同然である。お叱りを受けるのも面倒くさかったし、長老の元へ自分から行ってしまおうか。そのまま二人が暴れ出したことにしてしまえばいい。というか、それが事実なんだから堂々としていればいいか。


「いいんですか、あれ? 流石の私もドン引きなんですけれど」


「勝手に暴れさせとけばいーんだよ。おれだって関わりたくないことくらいある」


 サボるのにちょうどいい場所も思い浮かばず、適当な場所に腰をおろしていたら伊藤咲奈がやって来た。


 彼女もこの村に残ったのである。

 親父や麻呂ニと共に大和本部とやらに戻るのかと思ったのだが本人に思うところがあって残る選択をしたと自ら語っていた。


「まぁ、あなたがいいなら気にしません。それで、時間はありますか? ありますね」


「勝手に話を進めるな。…どうせ田んぼにしたい場所があるってんだろ?」


「ええ。土の質がいいし、水の流れも上手くできそうです」


「こないだもそう言ってたけどなぁ」


 ため息しか出ない。

 そりゃ、この世界に米は普及していない。そもそもこの村の穀物は米とは似ても似つかないものだ。育つ環境がまるで違う。そもそも、水田自体当然ながらないのだ。

 

 一から水田を作る。

 

 それがどれだけ大変なことなのか。土を耕し、水を引き、その上で植え付けて育てるのだ。

 親父の思いつきで米作りを命じられたが未だにスタートすら切れない状況だった。いや、こればっかりは当たり前のことだろう。


「土の質とかって言われてもよくわかんないんだよな。そもそも魔法で土を変えることとか出来ないもんなんかね? 米作りに向いたスキル持ってる奴もいるんだろ?」


「いますが、この村に来ている暇はないでしょうね。彼はいつだって引っ張りだこですから」


「そうかい。マジでどうすればいいんだろうなぁ」


 途方に暮れるしかない。

 昨日も伊藤咲奈が田んぼに向いているという土地を見つけてきた。まずは土を耕すべきだと1日かけて耕したが当然そんなんでできるはずがない。それでも1日の成果はあるかと思ったが、結論はダメだった。


 土に魔力の残留していたのだ。

 

 村への襲撃のせいじゃない。以前から残留している。昔から、この土地は作物を作るには向いていないと長老は言っていた。

 作物を作るのには向いていないと、長老が言っていたのだ。

 

「ほんと、あの馬鹿親父は何も考えてねえんだからよぉ」


 当然あの馬鹿親父だって知っていたはずである。なのに、息子に作物を作れと言う。このクソみたいな現実にため息しかこぼれなかった。

 

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