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これからのこと 二


「なんだ、お前んとこもう終わったのかよ」


 随分と早いお帰りである。

 アスラ達の班は郊外を担当していたはずだ。無数の死体や軍の残骸、魔法の発動による地形の変貌。戦士ですら対応しきれない場所を魔法に長けた面子を長老が集め、集中投下したはずである。

 朝方には出て行ったのは覚えているが、まだ昼前だ。長老の話では数日かけて全て片付ける予定だったはずだが。


「まだだよ。サボりをとっ捕まえに来たんだ」


「サボり?」


「ああ。他所の男に粉かけてるクソババアをな」


「は? 誰だ、それ」


 クソババアでミァハさんを思い出す。確か、彼女もアスラと一緒の班だったはずだ。いや、ミァハさんがクソババアというわけでは断じてないんだが、アスラとおれの共通の知り合いという点を考えると彼女しか該当する人物がいなかったのである。

 けれど、ミァハさんは元来真面目な人だし、出発の挨拶の時点でいたはずだが。


「こわーい。アスラちゃんに睨まれたー」


 と、なぜか抱きつかれた。

 わざとらしい猫撫で声。それと同時に、アスラからの視線の圧が増した。いや、おれを睨みつけられても困るんだが。

 ん、ということは。


「サボりって、えっと、こいつ?」


 名前を呼ぼうとして結局言えなかった。

 なぜかわからないが名前が思い浮かばなかったのである。考えてみればこいつの名前を呼んだことはなかったかもしれない。というか、名前を聞いたこともなかったような。

 

 ん、あれ、そんなことあり得るのか?


「お。なんだ、トールも成長してるじゃん。私の魔法を弾きやがった。うんうん、ジンキもよく練れてるし、これなら生き残れるんじゃ無い?」


 しみじみという少女。

 違和感がさらに増していく。こいつは、今、魔法と言った。けれど、おれは攻撃されたわけじゃない。

 いや、違う。されてたってことなんだろうか。

 名前を知らなくても旧知の間柄であると勘違いするように意識を変えさせられていた?

 いや、そんな魔法あるのか?


「だから言ってんだろ、ババア。トールはもう大丈夫だよ。あたしが守るから」


「あんたは口の利き方を考えな。まぁ、騙してた私を嫌う気持ちはわかるけど、これでも村の重鎮なんだ。幼少期に一緒にいた縁ってのは大事だと思うけどね」


 ババア。

 目の前の少女は七歳児程度にしか見えない。いや、それを言ったらおれだってそうだ。俺の場合は中身が違うだけだが、目の前の少女はそうではないらしい。

 言葉通りであるなら、


「ま、あんたみたいな特別な奴には相応の監視ってもんが付いてたって話さ。今回の件でお役目も終わりだけれど、私はあんたを気に入ってる。だから、お別れの前に誼を繋いでおこうって思っただけだよ」


 とって食ったりしないから、と笑みを浮かべる誰か。

 なんというか、まぁ、そうだろうなという感想しか浮かばない。

 気楽に七歳児をやっていたのはおれとアスラくらいだったって事実だけは、なんとなくもの悲しい気分になったが。

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