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最強の戦士


「うん。とりあえず、トール。お前が米を作るんだ」


 地上に降りて数分。

 長老と伊藤咲奈からある程度の概要を聞いた父は、相変わらずのマイペースっぷりでこんなことを言い出した。

 いや、なんでやねん。


「あの、話聞いてた、父さん? 米作りも多分占領政策の一環で、穀物を置き換えることで胃袋を掴むやり方っていうか」


「トール。お前は米を食ったんだな?」


「え、いや、だから」


「米を食ったんだな?」


「…えぇ」

 

 初めて父から殺気じみた怒りをぶつけられた気がする。多分、自分の知らない間に息子が美味いものを食ったのが気に入らなかったんだろう。 


 確かに、米は美味い。


 美味いが米作りを始めれば、それこそ大和からノウハウを得なければならないし、穀物の生産は村の基幹産業だったはずである。そして、米には希少価値がある。自然と米作りが主要産業となるはずだ。そして、穀物の物流構築にだってノウハウがある。保存方法、日数、病気、害虫への対策など諸々の知識が必要なのだ。

 そうなれば大和からの支配が始まるのは目に見えている。

 だから、大和の要求を飲むんではいけないのだ。


「美味かったんだな?」


「おいしかった。けどさ」


「お前が米を作るんだ」


「…はい」


 もうやだ、このクソ親父。

 我儘もここに極まれり。

 世界最強の戦士だかなんだか知らないがどうしてここまで自分勝手に事を進めるつもりなんだろうか。まぁ、おれとしては親父でもあるし、仕方がないと諦めるほかない。

 まぁ、この親父がいれば大和の支配だどうだと気にする必要もないか。


「それで、彼が麻呂ニか? 随分と肌が白いな。大和の人はこうなのか?」


「化粧をしているだけです。私の肌は普通じゃないですか」


「そうか。まぁ、どうでもいいか」


 この状況でどうしてここまでマイペースなのか。

 我が父ながらドン引きしていると気を失っている麻呂ニをしばらく見ていた。…いや、なんで無言で見つめてんだこの人。


「あー、起こせばいい?」


「いや、待とう。こんなに気持ちよさそうに寝てるんだ、可哀想だろう」


「ああ、そうだね」


 この人の感性がマジでわからない。

 

「アグニル。村の外を片付けたのはお前か?」

 

 端的な質問が長老から投げかけられた。

 言葉だけでは意味が通じないだろうが、この場にいる全員がその意味を悟った。そもそも長老がこれまで会話にも参加していなかったのは船内での麻呂二の言葉を確認するためでもあったのだ。

 

 他国からの侵攻軍。そして、大陸からの刺客。


 その言葉の真偽を確かめるためだったのではあるが、


「? ああ、彼らのことか。とりあえず大将らしき人物を何人か仕留めたら帰ってくれたよ。しばらくは攻め込んでは来ないだろうな」


 そんなあっさりとした言葉で片付けられた。

 長老はなんとも言えない表情で言葉を失っている。おそらくは親父が起こした惨状を全て確認した上でのこの表情。

 うん。

 これからは米作りだな、とおれは自分の運命を受け入れることにした。

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