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大和とは 七


「だめだめ、おにゃかは空いてないよん。やるべきことがまだまだあるもんねー」


 緩んだ態度だが空気の張り詰め方が相変わらず尋常じゃない。

 殺気立っているというか、挙動の全てから目が離せないのだ。一瞬でも隙を見せれば、そのまま肉球に押し潰されそうな予感。明確な敵意を向けられていないおれですらこうなのだ、麻呂二や伊藤咲奈にはどれだけの重圧を感じているんだろうか。

 まるで気の毒には思わなかったが。

 

「ね、お嬢ちゃん?」


「…私はこう見えてもいい年齢なんですが」


「うん? 私がにゃにかわかってる? わかってるにゃらそんにゃこと言う方がおかしいってわかるんじゃない?」


「それは、そうですね。ええ、そうだと思います」

 

 圧がやばい。

 伊藤咲奈は未だにおれの背後に隠れてるもんだからとばっちりで圧を真面に受けている。いや、本気でやばい。修行で耐性を得ていなければ自害していたに違いない。それでも一瞬気を失いかけたし、これ以上の抵抗は意味がないことだけはわかった。

 いや、おれが追い詰められる側じゃないはずなんだが。


「うんうん、すにゃおでいい娘だねー。見てくれも良し、雰囲気も問題にゃし。ほんと、どうして君みたいにゃ娘がねー、どうしてなんだろねー?」


 …なんだかおかしい。

 戦闘モードに入ってるのは間違いない。けれど、なというか粘着性があるというか嗜虐性とでも言えばいいのか。単純に、怖いのだ。確かに肉食獣なのだからそういう一面も持っているのかもしれない。けれど、それがあまりに執拗で、言葉の端々から怒りにも似た感情を感じるというかなんというか。

 実際に矛先を向けれられた伊藤咲奈は明らかに困惑しているようだった。


「なんの話ですか?」


「百八匹」


「え」


 なんの数だ?

 そばで聞いていたおれには理解できなかったが、背後の彼女は理解したようだった。袖を掴んでいた腕が離れ、すぐ背後にあった気配が消えた。

 

 いや、気配が増したとでも言えばいいのか。


「ああ、そう言うことですね。なんだ、それならそうと早く言ってくれればいいのに♪」


 歌うような軽やかさ。

 思わず振り返り、頭を抱えたくなった。

 

 伊藤咲奈は平静を取り戻している。

 普段通り何を考えているのかわからない胡散臭い笑みを浮かべ、全身からジンキが立ち上っている。

 こちらもこちらで戦闘体勢。

 全身の肌が逆立つほどの気の衝突に反射的に逃げ場を探す。

 ここは遥か上空だ。眼下の村落もまるで模型みたいに見える。

 おれたちがいるのは麻呂二が地上に降りる時に使った小型艇。多少の足場はあれど、天照ほどの頑丈さは期待できるはずもない。バスにゃんがその気になれば、一瞬で沈められる。

 バスにゃんは空に浮かんでいる。長老もその気になれば飛べるはずだ。

 問題は明らかに不利なこの状況でやる気満々なやつがいることである。最悪、長老に飛びつけばどうにかなるか? いや、麻呂ニが気絶しているしそう楽観視できない。伊藤咲奈ももしかすれば飛べるのだろうか。

 そんなことを考えていたら、


「私が殺した魔獣の数ですね? ええ、ちゃんと数えてましたとも。それなりに強かったですからね」


 さらに油を投下するために、伊藤咲奈はわざとらしいほど嬉しそうに言った。

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