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大和とは 二

 

「つまり、それを上納しろというのか? ワシらに貴様らの下につけと」


「んん? あいや、違う! あくまで米造りをしてほしいだけじゃ! 採れた米はお主らで食してほしいし、他所に売るのも構わん。それでも余るようであれば大和で買い取ろう。無論、市場価格などないでな。話し合いになるとは思うがの」


「あやしすぎんだろ」


 思わず呟いていた。

 あまりにも意味がわからなかったからだ。本当に言葉通りであるのならば、この麻呂二という男は組織としての落とし前の上に新たな農作物まで提供するだけのために来たということになる。

 メリットはこちらにあるだけで、彼らにはほぼメリットはないのだ。

 一番怖いのは、こちらが何かを要求する前にこれだけのものを差し出したという点だ。ある意味先出することで理不尽な要求を封じる狙いだろうか。いや、だからと言ってここまで手厚い支援をやる理由がわからない。それとも約束だけして反故にするつもりなんだろうか。…そんな真似をする意味はわからないが。

 これだけの科学力を持っているのだ。こんな集落を火の海に変えるだけの兵器なりなんりを持っていないわけがない。


「主がトールじゃな?」

 

 ぎょろりと目玉が動いた。

 失言だったという思いと同時にここに連れ込まれた時点で予想できたことだったので腹を据えることにした。


「ええ、そうです」


「ふむ。米の魅力を知っているのを見るに本当に転生者のようである。ここはひとつ、この世界に米の魅力を広めるために力を貸してほしいんじゃが」


「米が素晴らしいのはわかります。ですが、今はそういう話の場ではないと思いますが」


「無論、一番大事なのはこの集落の未来である。であるからこそ、我ら大和は全力の支援を惜しまん。その後に我らと敵対するのも結構。恨みがあるというならばシブサワ一派への報復も止めはせん。それが今回の件に対する大和の答えである」


 その上で、米づくりも何卒お頼み申す。

 そう言って麻呂ニは頭を下げた。

 やっぱり意味がわからない。いくらなんでもうまい話がすぎる。前世のテレビ番組で見た時に、日本が他国に提供した支援とやらよりも遥かに優遇すぎる条件じゃなかろうか。それでもばら撒きだなんだと言われていたのに、ここまでやる理由がわからない。

 これじゃまるでそっちが敗戦国じゃないか。

 しかも、こっちから条件を出したわけでもないのになんでこれだけの好条件を出してくるのか。

 タダより高いものはない。

 この鉄則を知っているおれとしては素直に頷き難い状況である。無論、それは長老も同様なようだった。

 矢継ぎ早の提案は即答させる目的もあるのだろう。実際、麻呂ニは断られることなどあり得ないと言った態度でおれ達を見ている。渋る理由はあっても拒絶する理由はない。そこをしっかりと認識しているんだろう。


「無論、我らもわかっている。これだけ凄惨な事件の直後。すぐに和解するのは難しくとも、復興もせねばならない。であるからこそ」


 麻呂ニはなぜか床を指差した。

 直後、床が消えた。

 いや、消えたと思ったが、透明になったのだ。

 眼下にはおれたちの集落が見える。

 

「我らは先んじて動く。これは先ほど申し上げた支援とはまったく関係ない。あくまで無償の行いである」


 無数の虫型ロボットが躍動している。

 一見すると嫌悪感が浮かんだが、やっていることを見て驚愕した。

 建物の修繕、インフラの整備。瞬く間に元通りになっていく村を見つめながら、その圧倒的なまでの科学の差を見せつけられた。

 

 こういうやり方はゲスのやり方だと思っていた。だが、実際に見せつけられると何もいえなくなる。これが『わからされた』ってやつなのかもしれないとなぜか、そんなことを思った。

 

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