真実とは作られるもの 急
「船、か?」
屋敷の外に出てみた光景はこの世界に来て一番の衝撃だった。
でかい船。
いつか見た龍なんかよりも遥かに巨大な物体が空に浮かんでいる。一隻だけだったが、その図体のデカさで出来た影で夜みたいな暗さになってしまった。戦士の何人かが松明や魔法で火を灯し、頭上の物体を睨みつけている。周囲に警戒を向けている者たちもいたが、それでも空に浮かんだ鉄(?)の塊を無視出来ないようだった。
まるでSFである。
宇宙戦艦とかそんな呼称が似合う物体にただただ圧倒されるしかなかった。
「我らが大和が誇る救済艦『天照』。これこそが私達大和があなた達の味方であるということの証拠です」
ドヤ顔で伊藤咲奈は言った。
いや、こんな出鱈目な物体がきたからなんだってんだとは言えなかった。救済艦という言葉も気になったが、こんな謎物体が空を飛んでいる時点でさっきの話合いの八割方はふっとんだと言ってもいい。
少なくとも、長老ですら伊藤咲奈に対して反論の一つも出来ないようだった。
「おい、来たぞ!」
誰かが叫んだ。
と、同時に何が起きたのかを理解する。小型の船だ。けれど、船というにはあまりに簡素な作り。一見すると畳一枚程度の板のような物体だ。けれど、どこか高貴な印象を覚える。安い光沢のない不思議な材質。なにより、
「ふむ。随分と好き放題に暴れたようでおじゃるな」
そこに乗っていた人物が明らかに高貴ななにかだったからだ。
白粉のようなものを顔に塗り、人を小馬鹿にしたようなメイク。身に纏っているのは前世で平安貴族といえば一発で頭に浮かぶ着物と烏帽子まで被っている。
極め付けにはおじゃるときた。
明らかにおれが元いた世界の住人であることがわかった。しかも、人を小馬鹿にする系か逆に頭がおかしい系の人間である。
「おお、これは失礼。いきなり頭上から不躾に申し訳ない。不二和良麻呂二と申す。大和の…まぁ、代表のようなものを務めておる。この度は我が組織の一員であるシブサワがご迷惑をかけた。その償いではないがまずは食糧と医療の提供をさせていただく。インフラ修繕に関してもこちらで費用を持つのでお任せあれ」
おじゃる語が消えた…?
というか、なんだこいつ。
挨拶の言葉かと思えば支援を申し出てきた。それに応じる間もなく。
巨大な船から複数の物体が飛び出してきた。
巨大なコンテナのようなものが複数。
虫のようなフォルムをしたロボットのような物体が無数の羽音を立てながらどんどん効果してくる。迎撃しようとしたが数が多すぎる。
あっという間に地上に降りてきたそいつらの一体がおれの目の前にも降り立ってきた。
かぶと虫のフォルム。けれどボディは金属製のようだ。生き物ではないからか嫌悪感はそこまで感じない。しかも、そこまで精巧ではないから思わず見入ってしまった。
直後、羽を収めた背中の部分がスライドし、
「我らが故郷の味じゃ。ご堪能あれ」
そこに、おにぎりと唐揚げとレタスみないな食い物があった。香りも想像と同じ。うまそうだったが、絶対にこいつはおれと同じ時代の人間だと確信した。
というか、これ、どんなセンスしてんだ一体。
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