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真実とは作られるもの 八


 このタイミングでよくもまぁ。

 呆れたほどの組織愛というか保守的というかなんというか。伊藤咲奈へ抱いていたイメージとは欠片もあっていない言動に唖然としてしまう。

 いや、この女は自分以外はどうでもいいと思っている節があったが、まさか、自分が所属する組織に忠誠を誓う性質だとは思わなかった。

 おそらくは彼女を知る誰もがおれと同じような感想を抱いていたのだろう。誰もが言葉を失って、緊迫していた雰囲気は一気に消し飛んでしまった。

 

「同意とみてよろしいですね?」


 そんな雰囲気でも変わらずマイペースなのはさすがだとしか言いようがない。一瞬で主導権を握った伊藤咲奈は普段通りの笑みを浮かべている。

 

「…なぜ、そこまで大和にこだわる?」


「え、そこ疑問に思うんですか? 大和は私が生まれ育ったコミュニティですよ? そりゃ、大事にするに決まってるじゃないですか」


 白々しいことを白々しさを隠さずに伊藤咲奈は言った。

 全員が白い目を向けているあろう場面で、おれは白い目を向けながら一つのキーワードが気になった。

 生まれ育った。

 つまり、彼女もおれと同じ転生組ということなんだろうか。

 七年間も一緒の集落で過ごしながらおれは彼女をなにも知らないことに気づいた。いや、そもそもやばいやつすぎて関わりたくなかったんだが。


「…七年も音沙汰なしなのにか?」


「ちゃんと報告はしてました」


「誰にだ」


「さて? 当然、私の直属の上司に決まってるでしょ?」


「だから、それが誰かを聞いてる」


「今は、そこは問題じゃありません」

 

 タカムラの追求を伊藤咲奈は明確に拒絶した。

 伊藤咲奈の言葉に納得してはいないだろうが、それ以上の追求はするつもりはないらしい。確かに伊藤咲奈の言葉は正しい。

 今は彼女自身のことはどうでもいいのだ。

 大事なのは、あくまで報復の的をどこにするのかなのである。


「とにかく、大和は無関係です。狙うべきはあくまでシブサワの一派で十分でしょう。そのための協力は惜しみません」


「…つまり、貴様の一派が手を貸すと言いたいのか?」


「その通りです。流石、長老。話が早い」


 満面の笑みを浮かべる伊藤咲奈。

 長老は苦々しい表情を浮かべているが拒絶するつもりはないようだった。

 

「だが、七年も離れていたと聞いた。貴様自身にそれだけの影響力はあるのか?」


「もちろんです。その証拠を見せますよ」


「…なんじゃと?」


 伊藤咲奈は言葉ではなく、態度で答えを示した。

 外に指を向ける。

 誰もいない空間に伸びた腕が指す方を見て、全員が疑問符を浮かべた。

 おれだってそうだ。けれど、直後に、


「長老! 何かが、空から来るぞ!」


 外から絶叫が響いた。

 

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