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真実とは作られるものである 四


「…地獄なら、とっくにみてる」


 ぽつりと男はつぶやいた。

 ああ、本当にどうしようもない。男にとってはただただ自身の心情を語っただけなのだろうが、この場で言うべきことじゃないのだ。

 男を擁護しようとしていたおれですらそう思うのだ。そもそも、この男に地獄を見せつけれられた者達がどう感じるのかまるでわかっていない。

 敵意と困惑が溢れていた空間が一気に殺意へと変わるのを察した。

 

「なんだと? 貴様、地獄を見ていると言ったか?」


 長老ですら明確な殺気と膨大な魔力を迸らせていた。

 その気になれば一瞬でこの男を鏖殺出来るはずである。それをしないのは、一重におれが擁護の立場に立っているからだろう。たとえ、集落の子供一人だろうとも意見は蔑ろにしないのはこの長老らしいと思った。

 けれど、決して集落の者を殺したこの男を許すつもりはないだろうとも確信した。

 長老は、襲撃の時に迎撃には参加しなかった。

 あくまで集落の子供や戦えない高齢者を守ることに終始していたのだ。

 だからこその怒りだ。

 この場にいる者達を守るだけで精一杯で、犠牲者達を見捨てたことを悔いている。

 それをわかった上で、おれは説得しなければならないのだ。

 いや、我ながらそんな真似をよく出来るもんだと、もう何度目かわからないが頭を抱えたくなったのだった。


「言ったはずです。彼も操られていたんですよ」


「だが、こいつは全てを覚えているのだろう? 遺体を見たはずだ。あれだけの矢で滅多刺しにする必要がどこにある? ワシにはこの男を生かす理由は一つもない」


 ごもっとも。

 そう言いたくなるのを我慢して、


「けれど、その行為自体が操られていた証拠です。それだけ確実に口止めをする必要があった。むしろ、それだけこいつを操っていた奴が追い詰められたからなんですよ」


「…なんだと?」

 

 長老は怪訝そうな表情を浮かべた。

 そりゃそうだ。

 これだけ大暴れをした連中の襲撃の理由が追い詰められたからなんてのは納得がいくものじゃないだろう。そもそも、大和との交流で何が問題だったかもわかっていないのだろう。

 だから、この男を問答無用で殺さず、引き渡せと言っているのだ。

 だったら、情報を開示すればいい。この男を生かす理由はなくなるかもしれないが、殺す理由だってなくなるのだ。

 

 なにせ、今回の襲撃の理由はおれなのだから。 


 あの場にいたみんなはおれへの影響を考えて黙ってくれている。ただ、おれが自分で言い出そうとしているのを察したのか、全員からの視線を感じた。黙っていろというつもりなんだろうがそう言うわけにもいかない。

 そもそも、こういうのは大嫌いなんだ。

 自分の所業を見て見ぬふりをするわけにはいかないんだ。


「そもそも、この襲撃はおれが原因です。迷宮を攻略して秘宝を手に入れました。その秘宝が大和にとって不都合なものだったので襲撃されたんです」

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