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真実とは作られるもの

「えぐいな。なんだよ、金利がトゴって。うわ、まじで利息だけは払ってる。ほんとシブサワってやつはクソだな」


 男の同意によってようやく全容が見えてきた。

 融資のスキルのお陰で使用目的や正確な借入金額、金利などの情報が項目別に整理されて脳内に浮かんできたのだ。

 医療費としての借り入れというのは間違いない。けれど、金利が異常だったし、連帯保証人までとっているとは思わなかった。それも、嫁だけではなく娘もとっている。

 いくらなんでも悪辣すぎた。

 これじゃ、仮にスキルによる支配を打ち消せたとしてもなんの意味もない。本人が呪縛から逃れられたとしても大切な人が奴隷にさせられるのだ。それだけでこの男の境遇がどれだけ憐れなものだったかを感じざる負えない。

 

「トゴ、とはどう言う意味ですか?」


 事の成り行きを見守っていた伊藤咲奈が言った。

 どうにもこの場にいる全員が何が起こっているのかわかっていないらしい。まぁ、そうだろう。一々説明する時間もないので事を進めていたが、ある程度のことは伝えた方がいいのかもしれないと思った。

 何より、母の視線だ。任せた手前、我慢しているのだろうが不機嫌さを欠片も隠そうとしていない。息子でなかったら問答無用でこの状況を叩き潰しているはずである。


「金利が10日で五割って意味です。雪だるま式に増えて利息があっという間に元金、つまりは借り入れ金額を超えるってことですね」


「…つまり、借りた金額の何倍も支払わなければならないということですか?」


「ええ。実質、死ぬまで金を払い続けさせるための条件ってことですね」


「なんですか、それ。そんな条件で借りるなんて馬鹿じゃないですか…!」


 伊藤咲奈に火がついた。

 けれど、今は宥めている時間も惜しい。これだけ悪辣な契約で雁字搦めするような屑が相手なのだ。もしかすれば、今回のように同じスキルを持った者への対抗策を施しているかもしれないのだ。

 

「違う。悪いのは貸したやつだ。借りるやつは条件を選べないが貸すやつは条件を決めることができる。どれだけ悪辣だろうと、どれだけ卑劣だろうとな。だって借りなきゃいけない理由があるんだ。その理由に命までかかってるなら呑むしかねえだろう。だから、金の貸し借りってのは厄介なんだ」


 条件は完全に把握した。

 元金に関しても対応可能。利息も前回の利払いから今日までの分も含めてやる。あとは金利だが、正直どれだけ悪条件にしてもトゴなんてつける気は毛頭ない。

 繰上げ返済による違約金も条項にはついていないようだ。意外な詰めの甘さだと思ったが、これは多分二通りの理由が推測できる。

 一つは借換えを考慮していなかった。

 もう一つは、この男がシブサワからその条件だけは勝ち取ったから。

 おそらくは後者だろう。

 でなければ、金貸にとって最も考慮すべき点を見逃すはずがない。逆の立場だったら、おれは必ずこの条件を足すだろう。

 

 ただ、今回はこの条件を足すことはしない。もっと別な条件をつけてやる。


「これでよし。後は最後の仕上げだ」


 沈黙を続ける男と真正面から向き合った。



「泣き寝入りするつもりならそれでいい。けど、取り返したいならすぐにでも頷け。あんたが決めるんだ」


 一瞬の間も要らなかった。

 男は頷き、おれのスキルが正常に稼働した。


 

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