おはようございます、ドラゴンさん。
お初にお目にかかります。
ぺこと申します。
本作は初めての異世界転生となります。
何卒よろしくお願いします。
突然で申し訳ないが、おれは異世界転生してしまったらしい。
なんでそんなわけのわからないことを言い出したのかと言うと目の前に龍がいたからだ。
龍、ドラゴン。
多分ドラゴンの方が近いんじゃないだろうか。いやにはっきりとした視界に映るそいつは知性を宿した目でおれを覗き込んでいる。その瞳に映ったのが赤ん坊であまりにも驚いたという表情をしていたので、それが自分だと理解した。
いや、なんで?
そもそも、この状況に陥った経緯や赤ん坊になった理由すらわからない。トラックに撥ねられた訳でもなし、女神なんて存在にも出会った覚えがまるでない。自分がいつ死んだのかさえも定かじゃないのだ。
なのに、どうしてこんな絶対絶命な状況になっているんだろうか。
「 」
不意に、何か、綺麗な音が聞こえた。
しばらくして、それが声だと言うのをおぼろげながら察することができた。覗き込むドラゴンの瞳がそう言っているような気がしたのだ。まるで楽器の音色のように伸びやかな声に聞き惚れていたが、それは唐突に途切れてしまった。
こわっ。
知性が宿る優しげな瞳に獰猛な色が宿る。その瞬間の迫力たるやうすらぼんやりとしていたおれの思考が停止するほどのものだった。呼吸のひとつすらまともにできない。股間が温かくなったが、そんなこともどうでも良かった。
このままとって食われると思ったが、何故かそうはならなかった。
これまた唐突に、龍はおれを覗き込んで。
ぺろりとその馬鹿でかい舌で舐め上げられたのだ。
ざらりとした感触と生暖かさが妙にリアルだ。そのまま飲み込まれるかと身構えたが、
「あんぎゃぁああああああああああああっ!」
全身が燃えるように熱くなった。
痛い。
ただただ痛い。
張り裂けそうなほど全身の隅々が痛くて、恥も外聞もなく悲鳴を上げる。あの龍がなにかしやがった。全身が燃え続けるような激痛の中で必死に悶え苦しみながら龍が空に舞い上がる後ろ姿を見送った。
視界が明滅し、意識が遠くなるたびに激痛が意識を引き戻す。
どれだけの時間が過ぎたのかわからない。
いつの間にか激痛は消えた。あまりに泣き叫び過ぎて全身から気力という気力がなくなったような気がした。
放心状態で空を見つめ続け、ようやく自分が屋外にいたことに気づく。
背中の硬い感触は土や岩の類ではないと思った。間違いなくベッドに眠っているわけじゃないだろう。
なんで赤ん坊の自分がこんなところにいるんだろうかと鈍くなった頭でぼんやり考えていると、
「あん? なんでこんなとこにガキがいんだ?」
竜の次に、大男が三太を見下ろしていた。
赤い肌。
ぎょろりとした大きな目は不思議と怖さを感じなかった。口元から大きな犬歯が見えている。筋骨隆々という言葉以上に頑強な上半身を堂々と晒し、逆立つ頭髪はライオンみたいにふさふさだった。
どれをとっても驚きの見た目をしていたが、おれが一番目を引いたのは、
「っの…」
頭に大きな角が生えていたことだ。
鬼。
御伽話の世界に迷い込んだんだとおれは納得するしかなかった。
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