第3話 特異性鑑定
特異性とういうのは異世界において誰もが持つ能力。
俺は今日、自分のチートスキルを鑑定しに行くが、正直言って不安だ。これは憶測に過ぎないが自分の能力が言語能力のみだったら俺はこの世界を努力して生きていかなければならない、それは御免だ。
率直に申し上げると俺は努力とういう文字を厭っている。
少し話をしようか、俺は小中高に引き続き勉学に勤しんできた、だがその勉学という努力をした結果、
第一志望の高校には遺憾ながら受からなかった。これが努力をした結果である。
結局は努力とういうのは文字だけであり、その後の結果など本人次第なのである。奮励する事で良い事なんてないと知っている、だからこそ俺は異世界では一意奮闘せずに優雅にスローライフを楽しみたかったのである。
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さて、こんな御託を並べている間に鑑定屋に着いたようだ。
何故鑑定屋と分かるのか?と諸君は僭越ながら思っただろう。それは簡単だ、看板にそう書いてあるからな!
では何故看板の文字が読めるのか?日本語で書いてあるのか?と様々な疑問が一気に脳裏によぎっただろう。それは簡単だ。
どうやら俺は言語把握能力と共にこの世界の文字を読める能力まで備わっているらしい。
なんともご都合が良いな...
まぁ良い、取り合えず中に入るとするか
「この看板に書いてある文字、なんて読むんですかね...私にはさっぱりです...」
どうやら葵にはこの文字は読めてないみたいだな、神様はどうして俺にだけ言語把握能力をスキルに付けたんだ?疑義があるが、神様のミスかもしれねえな。
「鑑定屋と書いてあるんだけどな、葵には読めないんだな...こりゃ厄介だな」
流石に葵に言語把握能力が皆無となると今後の生活に支障をきたす事になるな、その面は俺がサポートをしてきながら言語を学んでいくしかねえのかな。
「さて、入るとするか」
「う、うん」
葵は過度に緊張してる様子だった。中に進んで行くと元の世界でいう占い屋の雰囲気を醸し出していた。
奥の方に進んで行くと、石壁の部屋の中の真ん中に水晶玉があった。
これで特異性を鑑定するのか?というか店員らしき人が見当たらないんだけど、どこにいんの?
「店員さーん?いますかー?」
少し声を荒げ、叫びながら言うと奥から渋い声がやまびこのように返ってきた。
「なんじゃ?!なんじゃ?!」
かなり慌てながら、奥の部屋から出てきた。見た目は所謂ゴブリンだろうか、長老のようだ。
白い髭を床に垂らしながら出てきたのはここの店主らしき男だった。
「なんじゃ!ワシは忙しいんじゃ!冷やかしなら帰ってくれ!」
冷やかしって...店員を呼んだだけだろ...
「いや俺達はスキルを鑑定しにきたんすよ!冷やかしなんてガキじゃあるまいし、しませんよ」
「ワシからしたらお前らはガキじゃ!」
俺は一文無しのクソガキに見えるかも知れないが、葵は大人びている方だろ...
次葵をガキって言ったら俺の右ストレートをお見舞いするぞ!クソジジイ!
「ま、まあ兎に角鑑定してくださいよ、俺達は立派な客人っすよ」
「客人なら金を出せ、一回の鑑定は銀貨5枚からじゃ!」
そうか、そりゃ金取るよな。銀貨5枚が高いのか安いのかもわかりやしない。さてどうするか...
俺は数秒沈黙し、重たい空気が流れる。
「なんじゃ?お前ら小僧共もしかして一文無しか?」
「いやー...そうみたいっすね...どうしましょ、ハハハ...」
「ふざけるんじゃない!だったらそこの小娘に体を売らせて金を作って来い!」
今このジジイなんて言いやがった?今のご時世そんな事言ったらセクハラとパワハラで訴訟待ったなしだぞ...
「おい!このクソノンデリジジイ!こんな美少女に対して吐くセリフがそれか!?」
「なんじゃ小僧のくせに威勢だけはいいのぉ?!」
俺とノンデリ長老ゴブリンは至近距離で睨み合いになる。葵は頭の上に?マークが出ていた。どうやら言語を本当に理解していないみたいだ。
数秒間睨み合いになった後、長老ゴブリンは何か吃驚したような顔をした。
「ん?こ、小僧...お前...」
「どうしたんだよ、ノンデリジジイ?そんな驚愕して、俺の言葉の弾丸にションベンでも漏らしたのか?」
「いや...小僧...転生者じゃろ...?」
急に何を言い出すのかと思ったら、転生者?なんで俺が転生者だって分かったんだ?
「は?なんで俺が転生者だって...」
「だって、小僧...お前覇気が凄いぞ...」
オーラ?もしかして、強者特有の?!あのオーラですか?!?!?!?!?!?
「分かった、銀貨5枚はなしで無料で鑑定しよう」
絶対これ俺TUEEEEパターンでしょ!陰キャ異世界転生チート能力スローライフキタァ!!!!
「はい、爺さん。是非鑑定よろしくお願いします」
「あ、あの!」
葵さんが唐突に言う
「い、今何の話をしてるんですか???私わからなくて...」
「そこの嬢ちゃんは何語を話してるんじゃ?」
「ああ、この娘も転生者で、僕みたいに言語把握するスキルがないんすよ」
葵には申し訳ないが、生活する為に言語を学ばせよう。
「そうなのか、じゃその嬢ちゃんも一緒に鑑定してあげよう」
そう長老ゴブリンが言うと、早速鑑定の準備を始めた。
さて、どんなスキルがあるのかねぇ...、中二心が疼き始める。