第2話 退院・生活
「「退院おめでとうございます!!」」
そう大勢の擬人化人外ナース達から退院の祝福を告げられると、俺達はこれからの生活について一層不安が募るのだが...そもそも医療費等はかからないのか?こんなに手厚いサービスをしてもらっても一文無しの今後については考えてくれないのかよ...
「あ、あざしたー...色々と...」
このままホームレス生活って訳にもいかねえしな...どうしたもんやら。
取り合えず病院の外に出て久々に太陽の光を浴びようと、勢い良く外に出てみた。
外に出て初めて俺が見た光景は、現実離れしてるファンタジーの世界そのものだった。
街並みは西欧のような形で、色々な種族がいた。トカゲが二足歩行をしていたり、普通の人間と思われる見た目の奴がいたり、もう色々とすげーよ、すげーって言葉しかかける言葉がない。
「なんじゃこりゃ、異世界転生系アニメそのままじゃねえかよ」
都合が良いのか悪いのか、どっちなんだろうな。
「さて、これからどうする?葵さん」
俺がそう尋ねると葵さんは少し戸惑った様子でこう答えた。
「うーん、そうね...」
葵さんは渋った顔で俺にこう言った。
「取り合えず昨日看護師さんが言ってた特異性?スキルみたいなものを調べてみない?」
スキルか、もしかしたら俺も言語能力以外にも何か特別的な神秘的なチート能力が備わってるかもしれないな...鑑定してもらう価値はありそうだ。
「分かった、そこに行くとして葵さ...、いや葵。」
俺が唐突に呼び捨てにすると葵さんは赤面した。
「な...なに?」
やっぱり童貞男が急に馴れ馴れしく呼び捨ては不味かったか?もしかして俺軍法会議行きですか?
「やっぱりこれから一緒にこの世界で生活していく訳だから呼び捨てし合った方が今後の為かなって、思ったんだけど...」
「そ、そうね。じゃ、じゃあ私は白鳥君の事なんて言ったらいい?」
いやもう白鳥君で良いです、股間が疼く!まあここは三大欲求をむき出さずに真摯に真面目にいこう。
「ああ、普通に瑛太って呼んでくれれば良いよ」
流石に恋人でもなければ友達でもない謎の陰キャ男に急に下の名前で言うのは不味いか...?
「う、うん、わかった。瑛太」
キタァ!まさか学年で最初にこの陰キャぼっちの俺が学年のマドンナ千本木葵から下の名前で呼ばれるという国民栄誉賞並みの事態になるとは誰一人予想できなかっただろう。
「ああ、色々とよろしくな、葵」
「!!!....恥ずかしいからあんまり呼ばないで....!」
その赤面しながら恥じる姿もまた愛くるしい...。素晴らしいッ!
「そんな事より!早く鑑定しに行きましょうよ...!」
「ああ、そうだな。もしかしたら葵にもチートスキルやら生活に役立つ万能スキルがあるかもしれないからな」
大体こういう異世界転生ではチートスキルが付属してくるのはお決まりだ。
よし、取り合えず行くとするか、これからのチートスキルライフで異世界では成り上がってやるぜ!