元義兄、一線を越えそうになる。
「に、兄さん………まだですか……? 私とて恥ずかしいのですが……」
状況整理。
これから親父がくるから料理の準備をしないといけない(早急)
なのにれみは下着姿になってベッドで寝ている(セクシー)
そして今俺になにかを催促している(NEW)
うん。意味不。
あ、もしかして暑くなっちゃったとか?
最近は気温が落ち着いている傾向にあるけど、動いているうちに蒸し暑くて服を脱ぎたくなっちゃったと。
いやぁ、俺も一人暮らしだとよくやるよくや――――
「じゃねええええええええええだろおおおおおおおおおおお!!」
「兄さん!?」
額を壁に激しく打ちつける。
俺のれみはそんなにはしたない女の子じゃない。例え兄として慕っているとはいえ、男の前で服を脱ぐ痴女になんて育てていない!
いや、体つきは育っているけど――――
「だから違うってえええええええええええええええええええええええ!!」
「兄さんどうしたんですか!?」
だめだ。なんつぅ最低なことを考えたんだ俺は。妹の体でドキドキするなんて万死に値する。
れみは妹れみは妹。俺の妹。小さい時から一緒にお風呂に入るほど仲がよくて寝るときもいつも一緒なほど仲良い―――
「兄さん?」
だめだ。れみの呼びかけで頭の中の幼いれみが今のれみにフォルムチェンジした。頭にこびりついたさっきの体つきが再び蘇る。
れみはいもうとれみはいもうと。ちのつながりのないあかのたにんだったいまはいもうとじゃないおんなのこ。
「俺の馬鹿ああああああああああああああああああ!!」
「兄さん!」
れみが後ろから羽交い絞めの要領で抱き着いてきた。ブラジャー越しにだけど、僅かな胸の膨らみと、それがふにゅ、ともぷにゅ、とも潰れる感触が稲妻のように体の内部を駆け巡る。
素肌の部分が妙に冷たくて柔らかい。それがゾクゾクとした緊張と興奮を産んで、一歩も動けない。
「はぁ、はぁ、れ、れみ………」
「はぁ、はぁ、や、やっと落ち着きましたか……」
なおも身じろぎできない中で、喉だけが異常に乾いてくる。呼吸が荒いまま元に戻らず、心臓が爆発しそうなほど煩い。
れみの拘束が微妙に弱まり、お腹のほうへと手が回された。薄いシャツが、れみの手の感触が、それに合わせて肌を擦ってビクリとした痙攣が。
頭が沸騰しそうだ。このままじゃいけないとれみの手をどけようと二の腕を掴むと、折れてしまいそうなほど細く、華奢ですべすべとした素肌に驚く。
小さい子供の、ぷにぷにした肌感じゃない。滑らかでありながら弾力があって、吸いつきたくほど。
俺はきっと今まともじゃない。大切で、大好きで、なにに変えても優先したいはずの大切な妹を女として意識している。
それは俺の体の一部分が証明しつつある。いつも起こる男の生理現象。血流が集中していって、ある変化を遂げそうになっている。
愚息がライジングしかけているのだ。
「れ、れみ………?」
「に、兄さん………?」
「は、離れないか? ひ、ひとまず……さ?」
れみは俺の意を汲んだのか、フッと力が抜けた。
ホッと息をつくと、今度は尋常じゃないくらいの力でぎゅううううう、とくっついてきた。落ち着きかけた血流がまた暴れだす。さっきよりもれみの体の感触が強く柔らかく感じられる。
「兄さんの背中、やっぱり大きいですね」
いや。背中だけじゃなくって大切な部分も大きくなっちゃうから。やめて。
すりすりと、ゆっくり頬ずりしてくるではないか。上、下に動くたびにビリ、ビリ、という静電気に似た反応が生じる。生温かい吐息、鼻息が背中にかかり、ぞくりとした快感が。
「こうしてくっついたことって、そういえばなかったですね。子供のときは当たり前だったのに」
お互いもう子供じゃないからな。大事な部分が。
「不思議ですね。さっきまでは恥ずかしかったのに。こわかったのに。今はなんでもありません」
お兄ちゃんはなんでもなくもない。
おかしい。絶対なにかが間違っている。
なんでこんなことになってるんだ。
どこからおかしくなった?
「れ、れみ。いい加減――」
振り返ろうとしたそのとき、れみの足とぶつかった拍子に縺れる。手を掴んだままだったのが裏目に出て、れみを巻き添えにする形で倒れてしまった。
咄嗟にれみを庇うようにして体勢を変えようとしたのと踏ん張ったおかげで、尻餅をついた程度で終わったけどれみは俺のお腹に乗っかった状態に。腰と太腿に触れ、俗にいう対面座位というものに近い状態で、見つめあったまま硬直。
まだ自分がどれだけ恥ずかしい体勢になっているのか気づいていないのか、それともそういう知識に疎いためか、きょとんとしている。
俺からすればたまったものじゃない。至近距離で裸に近いれみを具に上から下まで眺めてしまう。
そういう体位でいながら、さっきよりも艶めかしい部位、より女性らしい肉感的な腰と太腿に触れているせいでより生々しくれみを感じている。
「兄さん………」
れみの声に艶があって、熱があるように感じられるのは気のせいなのか。
近づいてくる。れみの顔が。違う。近づいているのは俺だ。どうして? なにをしようとしているんだ? 俺は。
わかっている。わかっているのにとめられない。
おかしい。だめだ。やめろ。俺。このままじゃ。
れみは妹なのに。大切な女の子なのに。
吸い寄せられるように、れみに顔を近づけていくのをとめられない。
止まれ、俺。




