第96話 聖女との会合
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担架に乗せられてゆらゆらと運ばれてた俺だが、目の前にはげんなりとする光景があった。
「……で、診察の為に運ばれて来た俺をわざわざ見てくれるのか?なぁ、聖女様よ」
「嫌ですねぇ〜、前みたいにマリアって呼んでくださいよぉ。シクシク……私、悲しいです…」
この腹黒腹ペコ聖女様を以前から知っているから目の前の金髪美少女が泣いてようが、猫被ってようが心は揺らがなかった。
流石に何も知らなかったら揺らいだかも知れないがな。
「ヴィーラも久しぶりだな。アンタに会えて嬉しいよ」
「ああ、貴殿も息災で何よりだ。よければ今度、私と剣を交えてみないか?」
「美人のお誘いとあれば断る理由がないな。その時はよろしく頼む」
ヴィーラも久しぶりだ。正直言って目の前の嘘泣き女よりも好感がある。艶やかな紫の髪は女神の様に美しい。どっかの腹ペコとは大違いだ。
ヴィーラとばかり話していたら嘘泣きをやめたマリアが頬を膨らませてぷりぷりと怒り出した。
「もーう!私を無視しないで下さいよ!」
「嘘泣き終わったんだな、マリア。お疲れさん」
「聖女様、今いい雰囲気なのですが…」
「〜〜っ!ヴィーラッ!貴方はどっちの味方なんですかっ?!」
横槍を入れて来たマリアに茶々を入れる様に軽口を叩く。
ポカポカと殴ってくるが痛くは…いや、こいつ力はゴリラ並みに強いんだった。めっちゃ痛い。そろそろやめて欲しい。
隣に佇んでいたヴィーラがマリアを何とか宥めて止めに入ってくれた。やっぱり好感が持てる女性だ。
「……コホンッ、まあいいです。では、まずお話ししながら治療の方をさせて頂きます」
「まあ、念の為だからな。早く終わらせくれ、俺は仲間の決勝を見に行かないといけないんだ」
「ご心配なく、此処に小型の投影出来る魔導具がありますので。ヴィーラ、繋げて」
「御意」
ヴィーラが机の上に四角いパネルの様な物を置いた。そのパネルから光が上がり、目の前に大きなスクリーンとなって映像が流れてくる。便利な魔導具もあったもんだと感心しながらその映像を覗き込む様に眺めた。
どうやら、まだ始まらないみたいだ。レティシアは肩幅まで股を開いて身体のあちこちの筋を伸ばしている。対戦相手であるトキはまだ姿を見せていない為、柔軟をしながら待っているのだろう。
「はい、次は右手を出して下さい」
画面に夢中になっていた俺を呼び戻そうとマリアの指示が飛んで来る。言われた通りに俺の右手を差し出すと両手で掴んで魔力を流し込んでくる。
彼女の魔力は何処となく優しい感じがした。幸福に包まれる様な、そんな感じがする。
「さて、アルバルト様。此方をご覧下さい」
マリアが魔力を流すのを止め、俺の手から両手を取り外した。そして驚愕する。そこにはあの日、見た3本の紋章が浮かび上がっていた。
「これは…」
「これは勇者と聖女のみが与えられると言われる聖痕と言われる物です。魔を祓い、魔を滅する力があるとされています。私の場合は背中に有りますがご覧になりますか?」
薄らとだが見覚えがある。ヘリオスとの戦いで俺の手に刻まれていた紋章だ。
「いやいい、それに勇者ってのは…前にもそんな事言ってたな」
「あの時は失礼を働いてしまい、申し訳ありませんでした。まず、聖痕とは女神セレーネ様から力を賜った証です。聖書には選ばれた男女1人ずつ、贈られるとされています」
「それが勇者と聖女って訳か…」
手に刻まれている紋章をマジマジと見る。
こんな物が聖痕、その割には全く力なんて感じない。ただ薄く光っているだけだ。
「勇者は相手の力を吸収し、己の糧にする事が出来る力。聖女は全てに癒しを与え、味方の能力を底上げする力があります」
「だが、マリアはこうして回復魔法を使えたりするが、俺は相手の力を吸収とか出来ないぞ?」
俺は相手の力を奪うなんて芸当は出来ない。もしそんな事が出来るならさっきの試合でも使ってる。
俺が不思議に思い尋ねてみると、マリアが一瞬、躊躇ったが口を開いて話し出す。
「……いいえ、貴方はもうその力を手にしている筈です」
俺の目をしっかりと見据えてマリアが話す。その瞳からは此方を茶化そうとする気配が微塵も感じられない。
「お忘れですか?魔王ヘリオスとの戦いで魔王の傷が塞がらなかった事を…あれはアルバルト様が恐らく無意識の内に行った事なんですよ」
力に溺れ、暴走していた時の記憶が蘇る。最後、ヘリオスが撤退する時の事だ。奴は俺のこの手に浮かんでいる3本線の紋章を見て驚いていた。
そしてタイラさんやレティシアが与えた傷はすぐ癒えたのに対し、俺の攻撃は回復しなかった。
「俺の攻撃が通用していたのは…そういう事だったからか」
成る程、考えてみれば辻褄が合う所もある。俺は目線を手に浮かび上がっている聖痕へと移す。
魔力をちゃんと意識して聖痕へ注げば、光は一層強くなった。逆にその魔力を身体に戻せば光は消える。
「本来は聖女が勇者の中に眠っている女神様の力を引き出す事で真価を発揮すると言われていますが、何らかの方法でアルバルト様が勇者の力を引き出した…魔王と戦う前に何か成されましたか?」
俺がマリアから何かをされたのか?考えても何も出てこない。いや待て、1つだけ思い当たる節があった。
「あの時は確か……タイラさんの傷を手当てする為に、マリアから受け取ったペンダントを握り潰して回復魔法を発動させた…」
「恐らく握り潰した際に、私の魔力が一時的にアルバルト様に流れた事で聖痕も反応したのではないかと考えられますね。ただ気になるのは…何故それだけで聖痕が反応したのか…」
マリアは神妙な顔付きだが、もうそろそろレティシアの試合が始まりそうだ。今は分からない事をウンウンと悩んでいるよりかは仲間を応援したい。それをマリアに伝える。
「…難しい事は分からねえけどさ。俺にはアイツを殴り倒せる力があるって事だろ?なら問題はねぇ。前にも言ったが、俺は魔王を倒す。そこはアンタらの目的となんら変わりは無い筈だ」
この腹ペコ腹黒女は何を企んでいるのかは知らないが、きっと悪い奴ではない。リサ譲りの俺の直感がそう言っているし、人の為に考えているマリアを信じてみたかった。
「…ふぅ、それもそうですね。私も難しい事は置いておくとしましょう」
「マリアやヴィーラが俺に接触したのは聖痕の事以外にもあるのか?」
「ええ、此処からはお願いなんですが…私達の用事に付き合って欲しいからなんです」
「貴殿は精霊石と呼ばれる物を知っているか?」
マリアの言葉をヴィーラが紡ぐ。何やら面倒な予感がするのであった。
アルバルト
右手に光り輝く聖痕を見て少しカッコいいと思った。何回か魔力を流したりしているとチカチカ光って目がやられる。
マリア
身体は小さいが肉付きは良く、幼さが残る反面、ムチムチとした凶悪な肉体で男共から圧倒的な人気を誇る。
腹黒、大食い、聖女と三拍子の構え。
ヴィーラ
マリアが聖女に選ばれる前から付き合いがある。
年齢がマリアよりも上の為、マリアから頼られる事もしばしば。公私を分けられる出来る女。
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