表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼人の旅路 これは君を探す物語  作者: 直江真
第三章 ヒガリヤ 剣舞祭編
90/148

第90話 本戦 第2試合と第3試合

 ユージーンとナセル・キッソスの試合は序盤でありながら派手で白熱した戦いであった。


 その後に続いた第2試合は踊る様な剣舞で相手を惑わすライアンと予選では傍若無人な姿だったゼニスの戦いだ。


 ゼニスは不敵な笑みを浮かべて腕を組んでいる。見るからに余裕そうだ。そのにやつく口元から挑発する。


「さっさと掛かってこいよ!あぁ?」


 対して舞を踊る様なステップで2人程、残像を生み出したライアンは分身と共にゼニスへ襲い掛かる。


「参るっ!」


 彼の周りを旋回するライアン達はゼニスが瞬きをした瞬間に一斉に飛び出した。刃身が湾曲したその剣がゼニスに迫る。


「……そこだ」


 攻撃を仕掛けられてようやく腕組みを解いたゼニスは迫る3人のうち、自身の右後ろに居たライアンに狙いを定めると手首の付け根部分を相手の顎に勢いよく押し当てる。


「アガッ…!」


 掌底を受け、顎を跳ね上げられたライアンは空中で1回転して地面に叩きつけられた。


 白目を向いてピクリとも動かない様子から試合は続行不可能と判断され、第2試合はゼニスが制する事となった。


「気配が完全に消せてねぇんだよ、馬鹿が」


 倒れているライアンを見てゼニスはつまらなそうにそう呟くだけだった。


 第1試合よりもあっさりとした終わりにあまり会場は盛り上がりを見せる事はなかったが、手をズボンに突っ込んだゼニスは気にする素振りを見せずに舞台場を後にした。


 ◆


 彼らの試合が終わり、次は第3試合。この次がアルバルトの試合だ。彼は今、控え室で目を瞑ってイメージトレーニングをしている。


 第3試合はマゼラとカーマンという組み合わせだ。


 簡単?な紹介の後に試合開始宣言がされる。


 マゼラとカーマンは開始宣言がされても互いに睨み合ったまま動かない。これにはちゃんとした理由がある。


 マゼラは怯えていた。計り知れない焦りと不安と恐怖に押しつぶされそうだった。

 彼のスキルは爆発。自身が触れた箇所に魔力を流し込み、意図的な爆発を引き起こす事が出来る。


 このスキルを上手く使って予選を勝ち抜くが出来た。選手達が混み合っている所に潜り込むと手当たり次第にタッチすると急いで離脱する。


 そして爆発に巻き込まれない所まで退避した後、流し込んだ魔力を遠距離から起動させて爆発を起こす。それの繰り返しだったが人が少なくなってきた頃には彼に触れられていない人などいなく、爆発を連続で起こす事で終了した。


 そんな彼のスキルは強力なのだが相手に近づいて触れなければいけないという欠点がある。だから迂闊に動けないというわけでは無い。


 冒頭に戻るが彼は怯えていて身体が震えており、思うように動けない。


 何故なら、自身を頭てっぺんから足の爪先まで何度も舐め回す様に眺めて来るカーマンが怖かった。捕まったら最後、何をされるのか想像も出来やしない。


「うーん!あなたぁ!なかなか良い筋肉ね!さっすがここまで勝ち残って来ただけは有りそうねぇ☆…本当に美味しそうだわぁ」


 品定めが終わったのか、カーマンは手をワキワキとさせて近寄り始めて来る。


「ヒィッ!」


 情けない声を上げたのはマゼラだ。こちらに少しずつ近づいて来る恐怖の存在に頭の中の考えは全然纏まらない。


 じりじりと近づかれる度に後ろに一歩、また一歩と下がるがそこは舞台の上。逃げ場もなければ隠れ場所すらない。隅へと追いやられたマゼラはもう逃げられない。


「く、クソォォオ!"連鎖爆裂拳(チェーンブラスト)"ッ!」


 マゼラが苦し紛れに放ったその技はカーマンに拳が当たる度に爆発していく。カーマンはその勢いに押されて後ろへ吹き飛んだ。


「……やったのか?」


 視線の先で倒れているカーマンを見てマゼラは呟く。安堵したのも束の間、カーマンはゆっくりとその身を起き上がらせた。


 そして立ち上がったカーマンを見てマゼラは絶句した。彼の身体は2m近くはあったのだが、今度は3m近く大きくなっており、筋肉も膨張して身体は薄らと赤くなっている。


「あら、驚いちゃったぁ?ダメージを受けると私はその分パワーアップ出来るのよ。じゃあ、今度は私から行くわねぇ!」


 巨大な身体を持つカーマンがニヤリと微笑むとマゼラに向かって走り出した。


 マゼラも戸惑っていたが落ち着きを既に取り戻しており、舞台の端から逃げ出す様に中央へと走り出す。


 数秒もしないうちに2人の距離は手が届く範囲へと近づいていた。


「喰らえ…!"連鎖爆裂拳(チェーンブラスト)"ッ!」


 攻撃を先に仕掛けたのはマゼラだ。カーマンのガラ空きだったボディへとその拳を連続でぶつける。視界を爆発する時に出る煙が埋め尽くす。


 激しい音と爆発の煙の中から飛び出して来たのは逞しい一本の腕だった。


「ウフフ、つっかまえたーぁ!!」


 爆発に耐えたカーマンはマゼラの顔を片手で掴むと足で舞台を強く蹴り上げて空へとマゼラごと飛び跳ねる。


 上空でマゼラの足を残った手で捕まえて完全に動けなくすると彼の身体を自分の下に移動させる。


「行くわよぉ!"抱擁愛圧殺術(ラブリー・ハグ)"ゥゥウウ!!」


 ドゴンッと会場に大きな事が響く。カーマンの宙を舞い、そのまま相手を下敷きにする技が完全に決まった。


 マゼラを下敷きにしたカーマンが立ち上がる。そして膨張していたカーマンの身体が煙を上げながら元の大きさに小さくなっていった。


 カーマンは立ち上がり、マゼラは舞台にめり込んだまま、ピクリとも動けず、立ち上がれないのを見てホレスが試合終了を宣言する。


 見応えのあった試合に会場から溢れんばかりの拍手と歓声が戦った彼ら2人に贈られた。


「マジかよ…」


 そんな恐ろしいカーマンの技を控え室から見ていたアルバルトは絶対に喰らいたくないと冷や汗を流しながら顔を引き攣らせた。

マゼラ

今回の被害者。ラブリーな技で戦闘不能に陥る。


カーマン

好みじゃないが、とりあえず抱き締めた。

一応、好き嫌いはしないタイプ。



最後まで読んでくださりありがとうございます。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマークの登録と広告の下にある【☆☆☆☆☆】で評価してもらえると嬉しいです。


モチベーションにもなりますので、感想等もよかったら聞かせて下さい!誤字脱字も教えて頂けたら幸いです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ