第41話 明かされる真相
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アルバルト達がケルベラルと激闘を繰り広げている中、王城でも動きがあった。
「セイクリッドブレスッ!」
「…アビスフレイム」
魔王と対峙していたエウロアエ王、賢者アーサーは光の上級魔法を繰り出すが、対抗する様に魔王は片手で闇の魔法を繰り出した。
ぶつかり合う光と闇の魔法。均衡する2つの魔法に衝撃波が生まれ、謁見の間にはヒビが入っていく。
聖女は気を失っている為、聖騎士長ヴィーラは聖女の前で剣を構え、飛んでくる床などの瓦礫を切り払っていた。
ヴィーラはアーサーと魔王が魔法で撃ち合っている隙を突き、攻撃を仕掛ける。それに魔王が気付くと今度はスキルを行使する。
「良い動きだ…ならば耐えてみよ!"衝撃"」
「何…!?」
魔王から放たれる衝撃波がヴィーラと聖女、アーサーを襲う。ヴィーラは剣を縦に構えて己の力を解放する。彼女の感情の高鳴りにスキルも力を上げた。
「舐めるなぁぁあ!"聖域展開"!!」
剣を中心にヴィーラの周りを金色の膜が覆う。離れている聖女と賢者にも聖域が発動する。迫る衝撃波から聖域が3人の身を守ると役目を終えた聖域は淡い光を発しながら消えた。
「ほぉ、まさか無傷でこの俺の"衝撃"を耐え切るとはな。だが、今ので貴様の魔力も底を尽きた様だ」
「今の攻撃で私の魔力が殆どを持っていくなんて……」
ヴィーラが使った聖域はスキルを使った本人が認識したあらゆる物を守る最強の守りだ。ヴィーラは剣の才能があり、魔力も人一倍多い。そこにこの守りのスキルが相まってか、聖王国で一番強いとされる聖騎士長に就任した。
聖域の弱点は攻撃から身を守る代わりに本人の魔力をその分、消費してしまうというものだ。だが、今までたった一度の戦闘で使い切った事など経験した事がないヴィーラは魔力不足による酔いと立ちくらみにより満足に立つ事すらままならない。
何とか剣を床に突き刺して無理矢理、身体を起き上がらせているが満身創痍であった。
「さて、面倒な聖騎士と聖女は動けまい。アーサー、俺から素晴らしい提案がある」
「提案じゃと…?話してみよ」
アーサーは動けない2人を守る様に移動して話を聞く。2人が動けるようになるまでの時間稼ぎだ。
「何、簡単なことだ。俺と一緒に来い。昔のよしみで仲間にしてやる。一緒にこのクソッタレな世界を滅ぼしそう。俺は今の世界を壊して新世界を作るつもりだ」
「何を、何を言っておる…!よりにもよって世界を滅ぼすじゃと!…仮にも勇者だった男が言うことではないわ!!」
「ふ、ふは、ふはははは!!!愉快だ、実に愉快だなぁ、アーサー。昔はそう勇者だったが今は違う。今度は俺が魔王だ」
「……やはりそうか。先程の技は我が友の物、まさかお主…混ざり合っているのか!!」
笑っていた魔王は笑うのをやめる。正体を見破られたのなれば、取り繕う必要はない。
「よく気が付いた。長きに渡り、封印されていた俺だがあるきっかけでこうして蘇る事が出来たのだ。そして元勇者であったこの男と混ざり合って俺は他者から奪い、与える事ができるこの能力を手に入れたという訳だ。……そしてこんな事も出来るのさ」
魔王が足を思いっきり床へ踏み込むと大きな揺れが王城を襲う。魔王が発動したスキルにより建物が軋み始める。謁見の間の外壁や天井が崩れ落ち、空が見える。
「お前は元俺の親友だったからな。今はまだ見逃してやる。だが俺の力は返して貰うぞ」
崩れてくる天井から2人の身を守る為に魔法を放っていたアーサーに一瞬で近づくとそのの頭に手を置く。異常事態を認識したアーサーだったが抵抗虚しく、魔王による略奪が始まった。魔王の手から闇が溢れ落ちる。その闇がアーサーを包み込んだと思えば、今度は魔王の身体に彼の身体から滲み出た闇が入っていく。
「ああ、懐かしい。この感じだ、身体の底から魔力が漲ってくる…!」
魔王が、アーサーの頭から手を離すと彼は膝から崩れ落ちた。魔王はそんな様子を見ると壁が崩れ、外に通じるようになった所に足を運ぶ。
「……!ほぉ、随分と愛おしい近くで気配がすると思ったらお前だったのか……アルバルト」
「お待ちなさい、魔王!」
「おやおや、これはこれはさっきまでぐっすりと寝ていた聖女様じゃないか!まだ寝てても良いぞ?」
「お黙りなさい!よくもヴィーラとエウロアエ王を…貴方は私が此処で止めます!」
聖女は聖騎士長が持っていた剣を手に取り、魔王を睨みつける。そんなマリアを魔王は見下しながら笑う。
「お前に俺が倒せるとでも…?お前より強いそこの2人を倒したこの俺を?」
「確かに私には貴方を倒す事なんて出来ないでしょう。ですがこれ以上、貴方の好きにさせて貰っては困ります!」
「……面白い。流石、セレーネに選ばれた女だけの事はある。だが、今のお前では役不足だ。大人しくしていろ、ダークバインド」
魔王からマリアに向けて闇魔法が放たれ、その身を拘束する。マリアは抜け出そうともがくがなかなか抜けない。
「いいザマだな。何も出来ない人族如き顔という物は……さて久々に顔でも見せに行く方が面白そうだ。それにまだ今回の目的も果たしていない様だしな」
魔王は謁見の間から外へ向かって飛びあがる。謁見の間には意識が朦朧としているエウロアエ王と魔力不足で立ち上がれない聖騎士、そして闇魔法によって拘束された聖女がいた。
屋根伝いに走る人影がある。魔王と呼ばれた元勇者である。高速で移動する魔王は黒い髪を靡かせてアルバルトがいる広場へ向かう。
「待っていろ、アルバルト!今、お父さんが行くからなぁ!!」
その顔は目はつり上がり、口は凶悪な笑みを浮かべており、悪魔のような顔であった。
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