LOST METAシリーズ「LOST METAVERSE≪失堕の箱庭≫」設定・用語集(社会篇)
■社会的背景
>人々の名前
基本的に人々は名しか持たない。領主は家名(サーネーム/姓)を持つ。NPCであっても、このルールは同様。簡単に名前の競合が起こるため、人々は出生地等を後置して名を修飾して競合を避けている。レオナルド・ダビンチ的な命名規則。
これは、ゲーム的に、主人公キャラクターの名前は、ユーザーの任意で柔軟に設定できることを意味する。名と家名を結合した相当に長い文字列を許容してユニーク判定するため、名前の衝突が緩和できる。
AKA(二つ名、源氏名)はアチーブメントの一環として扱い、ゲーム内において視覚化する。ゲーム内活動で特定条件を達成して入手できるものと、販売されているものを購入して入手するものを用意する。
>職業
RPG文脈のクラスという意味での職業の概念はない。全キャラクターが魔導士で等しく魔術を使用できる。本作で言う職業はもっと柔軟で、他の領主から自分がどう思われたいか、なんだと認識されたいか、に基づく自己表現の手段でしかない。よって、すべて自称で任意随時自由に選択(多様な選択候補を用意する)できる。例えば、現実世界の投資家が職業「トレーダー」を選択してもいいし、「インキュベーター」でも「インベスター」でも良い(もちろん、「トレジャーハンター」でも「ロストレイダー」でも)。あくまで「自称」であり、自己表現の一環。
>年齢
職業同様に自己実現のひとつの手段として年齢を用意する。キャラメイク時点で決定した年齢から、ゲーム時間の経過とともに加齢する。加齢に伴う能力の変化はない。設定にすぎないため、10万59歳でも可。ミッション失敗により、たびたび死を迎えるが、魔導により死を克服しているため、自キャラにとって死は終焉ではない。
>種族
プレイヤーが選択可能な種族は人間のみ。外形には人種的な形質の差(キャラメイクのカスタマイズ性で実現)はあるが、それぞれの人々は漠然と自分たちを世界市民だと認識している。人類の敵対勢力は、強いていえばタワーの守護者たちだが、積極的に空中浮遊荘園に侵攻することはない。よって、非戦闘的な局面において、「人類にとっての最大の敵対勢力は人類」ということになる。
他方、擬態する魔術により、外見を変質させることは可能。だが、それは魔導行使の一環の話であって、出生で決定付けられる生物学的な種族とは別の話。
漠然としたコスモポリタニズムにより、人種差別といった人類同士の差別意識は存在しない。実力あるものを重用したローマや、中世までのムスリム社会、中国諸王朝の価値観と同様である。その一方で異種族に対する差別意識は根強く、自由市民であるにもかかわらず、獣人に対する蔑視は苛烈。
>文字/言語
人類は世界共通言語を話し、世界共通文字を使う。モーラを発音通り表記するために26文字からなる文字が基本で、字形や発音には、やや揺れがあるものの、総じて均一で意思疎通が困難になることはない。
これは、現在の文明の後継者たる荘園に住まう人類が緊密に連携する相互に作用する互恵関係を築かざるを得なかったこと、保存と複製が魔導の進化によって、精密になったことによる。
脳内の理解と発話の関係が魔導によって無意識にコントロールされており、それぞれが読み、聞き、話し、書いている言語は、実は異なっているという説もある。人は衆愚をおぼろげながら漠然と知覚しており、その意識は衆愚の存在を肯定する説の論拠となっている。この設定は、ゲームの外側からリアル世界のプレイヤーがUIを操作して言語設定が変更できることに対する設定上の解釈でもある。
>政府/国家
前述したとおり、漠然とした世界市民意識がある一方、政府や国家の概念は存在しない。庇護のヒエラルキーの頂点は、荘園とその領主である。かつて2大軍事超大国が世界の覇権を巡って争い、その後勃興した第3の超大国の覇道により先行した両国が弱体化し世界が混乱した歴史が、物質文明の記憶を失った人類から無意識に対立の構図を忌避するように仕向けたのかもしれない。
上記とは異なるレイヤーで、領主同士の経済闘争の結果として、領主間のヒエラルキーが形成されている。連座同盟がそれであるが、同盟とは名ばかりで、実質的に領主間の主従関係である。ただし、荘園の領民にとっては、同盟に対する意識は希薄で、遠い雲の上の存在。上位の盟邦による支配が領民にまで及ぶことはない。
>宗教
現代にある宗教を暗示する描写は、設定やゲーム内イベントシーンにおいて行うが、ゲーム主人公に信教というデータアトリビュートは存在しない。つまり主人公全員がデータ上は無神論者である(プレイヤー自身が、ロールプレイの一環として、自らをxxxx教信者だと表明することを妨げるものではない)。物語の文脈では、魔導士にとっての宗教は、強いて言えば魔導がその代わりである。宗教の存在は、NPCの信教の描写やフィールド上のオブジェクトによって視覚化する。
>軍事
紛争解決の手段としての軍事行動が経済的合理性を欠くことを、領主たちは無自覚に知っており忌避している。先述した通り、魔導文明成立以降の歴史の繰り返しの中で獲得したものではなく、人々の意識の中に無意識に刷り込まれているため、逸話や過去の教訓譚といったものは存在しない。
その一方で、継承の螺旋からの「略奪」が経済活動の一環であることを、領主たちは経験的に熟知しており、その歴史を積み重ねて来た。大航海時代のアジアや新大陸への進出をイメージすると近いものがある。継承の螺旋の攻略に関する英雄譚や冒険譚は、貴族社会でロマンチックに語られており、幼少の頃より領主の心を踊らせる。