第八話 母娘
エリスが母親のフレイヤに会うシーンです。
「エリスちゃん、ただいま。
貴女が目覚めているなんてわたしは嬉しいわ。」
朝起きると青いドレスを身に纏っている女性が
というより見た目は私に似ているけど私より身長は高く、胸も大きかった。
誰だろう? と思っているとその女の人が抱き付いてきた。
「その反応からすると私のことは覚えていないようね······ごめんなさいね、あの糞野郎のせいで貴女に会えずに一人にしてごめんね。」
その女の人は涙を浮かべながら、私の頭を撫でた。
「あの、済みませんが貴女はどちら様でしょうか?」
気になって、その女の人に聞いてみると本人も答えるつもりだったのか、涙を拭いて誰なのか答えた。
「そうね、忘れているかもしれないから言うわね? 私の名はフレイヤ、元魔王妃で今は魔神をやっているわ。
そして、あなたの母です。」
「へ?」
母? ってことは私のお母様? 元魔王妃ということはやっぱり、先代魔王の妻?
「ふふふ、わたしはあなたの母よ、信じてくれるかどうかは分からないけれど血は繋がっているわ。」
そう言いながらクスクスと微笑んだ。
「私のお母様なのですね?」
私がそう言うと彼女は肯定するように首を縦に振る。
「ええ、そうよ。」
信用はしていない、こういう者こそ最後に裏切る。前世ではそういう経験をした。
最後の確認として聞きたいことを彼女に伝える。
「貴女を信用してよろしいでしょうか? なら聞いてもらって構いませんか?」
私がそう伝えると難しそうな表情を一瞬だけしたが、微笑んでる表情にすぐに戻り口を開いた。
「良いわ、言ってみて?」
私は全て彼女に話した。
前世の事も、前世で受けた酷い仕打ちも、全て話した。
「そう······人間がここまで腐っていたなんてね。
しかも、そんな酷い仕打ち······まともじゃないわ。
エリス、良く頑張ったわね。」
そう伝えると彼女は涙を流しながら私の頭を撫でた。例え私の前世が人間の貴族だとしても彼女は······いや、お母様は私の事を「例えあなたが人間の貴族だとしても私のたった一人の家族よ」と私に言った。
その言葉で私はいつの間にか涙を流して泣いていた。
そして、私は「裏切らないでね? お母様」と言うとお母様はクスクスと微笑み「ええ、裏切らないわ。」と返事を返した。