第十五話 魔王エリスvs天使6体
近くの森に転移して、エトラを地面に放り投げた。
「此処なら誰にも邪魔は入らない。
もう、再生できるんでしょ? 早くやってみなさいよ。」
私がそう声を掛けると、エトラの四肢が瞬時に再生した。
再生させたエトラは起き上がり、此方を睨んでいた。
「あら、怖い。」
「貴様、あんなに人を殺したくせに······ふざけるのは大概にしろ。」
彼女は怒りに満ちた表情で、青いオーラを出していた。
それに加えて、大地が振るえていた。
凄いパワーね······女神とはいえ、これ程とは······ある意味驚きだわ。
「ふざけては居ないわよ? これでも恐怖を感じているのだから。」
「嘘を吐くな、我には分かるぞ。
貴様が演技している事も含めてな。」
「ふふふ、あらあら······やっぱり女神にはバレちゃうか。」
「ふん、当たり前だ······貴様らのその醜い演技には心底うんざりしていたからな。」
いやいや、それは人間達が此方に喧嘩を吹っ掛けているからでしょ。
私達は別に悪くないもん。
「あっそ。
なら早く手下の天使らを呼んでみたら? 少しだけ勝機が上がるかもよ?」
そう煽るとエトラは顔を真っ赤にして、人間だったら気絶どころで済まない程の殺意を向けて、罵倒してきた。
「魔族風情が、我に指図するな!! 貴様らのような穢らわしい塵の分際でいい気になるな!!」
ふーん、女神の中ではそんなことを思っていたのか、人間と対して変わらないね。
「その認識で別に構わないけど、人間と対して変わらないとはね。
いやいや滑稽ね~。」
「貴様ァ!! ふざけやがって!!」
こんなのが女神なのか?
全ての女神がそうとは限らないけど、これは駄目だな。
まあ、怒りを誘発させたのは私だけどね。
「で? 天使らを喚ぶの? 喚ばないの?」
そう聞くと逆上した。
「貴様に指図されなくともやってやるわ!!」
逆上してかみを取り乱しながら彼女は魔方陣を回りに展開して、綺麗な翼を生やしている6人の少女達が出現した。
「エトラ様、ただいま参上致しました。
後は我々バージバル天使隊にお任せを。」
「いや、我も共に行く。」
「畏まりました。」
うわ~、これはこれで凄い······感覚だけで分かるけど、天使達が持つ剣や槍は唯の武器ではないね。
多分だけど、『崩壊』スキルと『分解』スキルが入っているわね。
「へぇ~、中々良いね~。
さあ、掛かってきなさい。」
「うるさい、黙れ。
貴様ら、奴を八つ裂きにしろ。」
「ハッ」
6人の天使少女が私に接近してきて、剣や槍で攻撃してきた。
「おっと、危ない。」
私は槍を鷲掴み、槍を持った天使を蹴り飛ばして槍を奪い、奪った槍に深淵の闇の力で付与し、剣を持った3体の天使の一人に槍を高速で突き、残りの2体は熱の闇魔法で蒸発させて、黒焦げにして殺した。
黒焦げにした瞬間に後ろから奇襲してきた天使を回し蹴りで蹴り飛ばした。
ゴキッバキッ!!
「ゴフッ」
蹴り飛ばした天使は背中の骨が折れた音と共に血反吐を吐いて、30メートル程吹き飛ばされて、大きな大木に枝に刺さり、胸に刺さった所には心臓が飛び出していた。
「残り2体」
剣を持った天使は剣に魔力を宿らせて接近してきた。
ソレは人間の眼では視認できないくらいの速さで、そのスピードで剣を振り上げてきた。
「アホ、スピード不足よ。」
剣を振り上げて接近してきた天使の両手をシュトゥルムで切断して、首を掴んで地面に叩きつけた。
地面に叩きつけた天使の頭を踏み潰し、踏み潰した頭から血と共に脳や眼球が飛び出した。
「引っ掛かりましたね。
これで終わりです。」
そう言った天使は真上から剣を振り下ろしてきた。
「いや、引っ掛かったのはお前だよ。」
私は漆黒の翼を広げて真上に居た天使の後ろに瞬間的に移動して、シュトゥルムで天使の背中を突き刺した。
「粉々になれ。」
突き刺したシュトゥルムに『闇風』という闇魔法を宿らせて、天使の内側から粉砕した。
粉砕した天使は跡形もなく内側から粉砕して、臓器や肉片が飛び散り、骨は粉々になり飛び散った肉片と臓器だけが残った。
バージバル女神エトラとの決着は次回辺りになります。